新・読書日記 2016_083
『反知性主義とファシズム』(佐藤優×斎藤環、金曜日:2015、5、31第1刷・2015、6、6第2刷)
佐藤優氏が1960年生まれ(早生まれなので、学年は1959年生まれと同じ)で、斎藤環氏が、私と同じ1961年生まれという、ほぼ同世代の論客が、「外交・宗教」(佐藤)体「精神医学」(斎藤)という、それぞれのベース(陣地)を基にして論戦を戦わせる「知的バトル」。
4章に分かれた本書は、4回の対談を本にまとめたもの。その4回は、それぞれ「1冊の本」をテーマに、その本・著者の世界・考えについて批判を加えたり評価をしたりして、そこから見える「現代日本」を論じていく。
「第1章」は『前田敦子はキリストを超えた~<宗教>としてのAKB48』(濱野智史)で、AKB論も出て来るし、「宗教とアイドル」という意味では『山口百恵は菩薩である』も出て来るし、「アベノミクスは宗教だ」とまで言い切る。スゴイ!濱野氏のこの本は、私はAKBに興味がなかったので読まなかったが、読んでみようかなと思った。著者の濱野さんという若い人は、東浩紀の弟子なんだ。東浩紀が若いと思っていたのに・・・。
「第2章」は村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が俎上に上る。村上春樹のこの本は読んだけど、こんな風な読み方は全然していなかった!と思うような切り口。
「第3章」は、なんとジブリ映画『風立ちぬ』が俎上に!斎藤環氏は宮崎を擁護しているが、佐藤優氏は宮崎駿をメッタ斬りです。宮崎駿の持つ「親ファシズム性」をこの映画からあぶり出す。ふーむ、そう観るか・・・。
最後(第4章)は『未完のファシズム』(片山杜秀)。この本は買ったけど、まだ読んでないんです。読まなきゃなあ。「ファシズム」と「日本」の親和性(の無さ)、また斎藤さんの「ヤンキー論」などから、その辺りについても考察していく。興味深い対談集です。脳みそが刺激されました。
実はこの本、去年出た本だったのだけど、全然知らなかった。ところが先週、大阪・京阪枚方市駅前にできた「TSUTAYA」の百貨店の中にある本屋で見つけて購入。すぐに読んだ。「本」って「巡り合い」ですよね。ネットでは多分、出会っていなかった本です。「リアル書店」ならではの一冊でした。