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『道浦TIME』

新・読書日記 2016_068

『仇敵』(池井戸 潤、実業之日本社文庫:2016、4、15)

「きゅうてき」と読みます。「かたき」ですね。

まだ、池井戸潤の作品で、読んでいないものもあったんだなあ。新しく出ていた文庫本を本屋で見つけて買ってしまい、すぐに読みました。

主人公の「恋窪商太郎」は、一流都市銀行の「部次長職」だったのに、社内の"政敵"の不正をただそうとした"政争"に敗れて、不祥事の責任を押しつけられてクビにされ、格の落ちる銀行で「庶務行員」をしている42歳の中年。「庶務行員」というのは、いわゆる「エリート銀行員」ではなくて、お客の案内をしたり駐車場の整理をしていて、「銀行の本来業務=お金」を扱うことは許されていない職種なんだそうだ。知らなかった。

そういう"身分"にありながら「スーパーマン」的な働きをして、正に「かつての"政敵"=仇敵」を追い詰めて行くという連作短篇。

1話ずつ完結しているが、話はつながっている。こんなテレビの台本向けの物語があったなんて!と思ったら、もうすでにストーリーは、テレビドラマ「花咲舞が黙ってない」に使われたのだそうです。なーんだ(やっぱり)。

でも痛快な"銀行物語"です。


star4

(2016、4、14読了)

2016年5月12日 19:30 | コメント (0)