新・ことば事情
6027「青金石」
ダン・ブラウン著・越前敏弥訳の『「インフェルノ・上」(角川文庫)を読んでいたら、
「首には青金石(ラピスラズリ)の魔よけのネックレスがかかっている」(14ページ)
という一文が出て来ました。この中の、
「青金石」(横ルビで「ラピスラズリ」)
というのは、初めて見た気がします。「ラピスラズリ」については、
「平成ことば事情5332ラピスは石」
で書いた気がします。読んでみると、そこに「青金石」という言葉も出て来ていました。しかし、これって何と読むのでしょうか?
「あおきんいし」?
「せいきんせき」?
辞書(『精選版日本国語大辞典』)で「あおきん」を引くと、
*「あおきん(青金)」=銀に混じって産出される自然金の称。また、金に銀を混ぜて作った金銀合金をいう。青みを帯び、工芸品や装身具の製作に用いられた。
とありました。ちょっと、思っていた「ラピスラズリ」とは違う気が。「青金」と「青金石」は違うのかな?『デジタル大辞泉』では、
*「あおきん(青金)」=金と銀の合金で、銀を20パーセント程度含むもの。青色を帯び、美術品・装身具などに使用。⇔赤金(あかきん)
と、やはり同じような内容です。
『精選版日本国語辞典』で「ラピスラズリ」を引くと、
「るり(瑠璃)を見よ」
と矢印が付いています。そこで「瑠璃」を引くと、4番目の意味にありました。
*「るり(瑠璃)」=ナトリウム、アルミニウムの珪酸塩で塩素や硫黄も含み複雑な組織の鉱物。藍色、半透明でガラス光沢がある。等軸晶系。塊状で接触変成作用を受けた石灰岩中に産する。宝石・装飾用。ラズライト。ラピスラズリ。
難しい!!
ちなみに『明鏡国語辞典』には「青金」も「ラピスラズリ」も載っていませんでした。
『三省堂国語辞典』も「青金」は載っていませんでしたが、「ラピスラズリ」は空見出しで出ていて、「るり」を見よとなっていました。「るり(瑠璃)」は、
*「るり(瑠璃)」=美しい青色をしていて、こがね色のこまかい点が入った鉱物。七宝(シッポウ)の一つ。ラピスラズリ。
これこれ!これでいいです。でも「青金石」は出て来なかったなあ。