新・読書日記 2016_052
『天下り酒場』(原宏一、祥伝社文庫:2009、10、20第1刷・2015、11、15第16刷)
たまたま入った阪急・西宮北口駅構内にある書店で、その書店の「おすすめ」としてポップを立てて棚に並んでいた一冊に手が伸びた。著者の「原宏一」さん、ごめんなさい、不勉強で知りませんでした。
読んでみたら、おもしろい!少し斜めからの視点で世の中を見て、その視点で作られた短編小説。昔、中学生の時に大好きで読んでいた「星新一」を彷彿させる作品の数々だった。
いそうでいないだろ、という登場人物たちと、その周囲の人たちの「空気」の危うさ。現在の日本と世界の危うい状況に対して、「こんなになりますよ」と警鐘を鳴らしているように感じた。「ブラックな創作落語」のような感じでもある。表題の「天下り酒場」のほか「資格ファイター」「居間の盗聴器」「ボランティア降臨」「ブラッシング・エクスプレス」「ダンボール屋敷」まで、笑いながらも「もしかしたら、実際にそんなことが起きるかも・・・」とゾッとさせられる短編集だ。
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