新・ことば事情
6021「『特定商取引法』の読み方」
3月4日のNHK正午のニュースで高瀬アナウンサーが読んだ、
「特定商取引法」
のアクセントというか、読み方が気になりました。彼は、
「ト/クテーショートリヒキホー」
と、「平板アクセント」で一気に読んだのですが、つなげて読んでいるのに、どうも、
「ト/クテイショー・ト/リヒキホー」
に聞こえたのです。それだと、
「特定商・取引法」
という様に聞こえます。「3:3」でバランスはよく、しかもその最後は「ショー」と「ホー」という「長音」で、
「韻を踏んでいるような感じ」
で、耳に心地よいのですが、この法律名の「切る所」は、
「特定・商取引法」
ですから、読み方としては、
「ト/クテー・ショ/ートリヒキホー」
が妥当だと思います。高瀬アナウンサーの読み方との違いは、
「『特定』の後で、ごくごく短く間をあけて『商』を言い直す」
かどうかではないでしょうか。
「リズム」で読むと本来の意味ではなくなるものは、「外来語」にもいくつかあります。例えば、
「トリコロール」「プエルトリコ」
は、本来の意味を考えれば、
「ト/リ・コ/ロ\ール」「プ/エルト・リ\コ」
菜のですが、「3:3」にバランス良く分けて、
「ト/リコ・ロ\ール」「プ/エル・ト\リコ」
と読まれることが多いのではないでしょうか?これは、
「意味をちゃんと把握していない」
から、そうなってしまうわけですね。意味をきっちりと把握して伝えようとすれば、おのずと読み方にも違いが出て来ると思います。