新・ことば事情
6020「人口に膾炙する?しない?」
中学時代からの友人Y君から、言葉に関する質問のメールが届きました。
「言葉の専門家として教えて下さい。ある人より次のようなメールをいただきました。
『・・・○○○(固有名詞)はあまりに人口に膾炙していない。』
この『人口に膾炙する』という言葉はわかるのですが、これってあくまで
『人口に膾炙する』が一つの言葉であって、『人口に膾炙』が『する』『しない』という使い方があると思っていなかったのですが、どうなんでしょう。よろしくお願いします。」
さっそく返事のメールを送りました。
「一般的には『人口に膾炙する』というフレーズがあって、そのフレーズがまさに『人口に膾炙する』ことによって、否定形の
『人口に膾炙しない』
というバリエーションも出てきた、ということではないでしょうか?
グーグル検索(3月21日)では、『肯定形』の、
『人口に膾炙する』 =1万8100件
『人口に膾炙している』 =2万8400件
に対して、『否定形』は、
『人口に膾炙していない』=1万3800件
で、『しない』が、『する』よりもわずかに少ないものの、十分に『膾炙している』のではないでしょうか?
似たようなフレーズに、『腑に落ちない』があります。これは『落ちない』という『否定形』のほうが一般的かなと思われがちですが、「肯定形」の「腑に落ちる」「腑に落ちた」も、結構使われています。
「腑に落ちない」=50万0000件
「腑に落ちる」 =37万1000件
「腑に落ちた」 =39万0000件
という結果でした。