新・読書日記 2016_038
『カレイドスコープの箱庭』(海堂尊、宝島社:2014、3、19第1刷・2014、4、9第2刷)
「カレイドスコープ」とは「万華鏡」のこと。そう、人生は「万華鏡」さ!
124ページの記述によると、「万華鏡」は1816年スコットランドの物理学者・ブルースターが発明、3年後の1819年に日本に伝来したという。すごいね。勉強になるね。
久々に海堂ワールド、それも「本家筋」の「グチ外来」田口先生が主人公のお話を読んだ。以前(2年前)、出たときに買ったまま読んでなかったんだけど、最近ちょっと「小説」に回帰している感じ。少し気持ちに余裕が出来たか?登場人物など、覚えているかな?と思ったけど、そんなに覚えてなくてもなんとなく思い出して楽しかった。しかも著者の海堂先生も、そろそろ読者もわけわからなくなっているのでは・と考えたのか、巻末に、「これまでの作品の覧」と、「登場人物の相関図」まで載せてくれるサービスぶりである。
海堂先生は、小説という道具を使って日本の医療界を改革しようとしてきた、と思う。それは「AI」の導入。亡くなった人の「解剖」が全て行われるわけはないが、「AI」を導入することによって、死因の特定が容易になる。しかし「生きている人」に使うのは良くても、同じ機械を「死んだ人」に使うことをためらう気持ちが、世の中には強くあって(それは、そうだな)なかなか進んでいない。でも、以前に比べれば進んできたのかな。それを受けて、海堂先生は、その先も見据えているのかな?ということを、今回の小説で少し感じました。
誤植と思われるところが1か所、234ページ
×「医療ミスを引き起こした施設で実施された主観的な検査だからは、客観的な証拠にならない、という理由です」
→○「医療ミスを引き起こした施設で実施された主観的な検査だから、客観的な証拠にならない、という理由です」
もしくは「検査は」でもいいですけど、両方出てはダメ。「2版」で直っていないのは残念です。