新・読書日記 2016_037
『なんちゃぁない話』(安倍夜郎、実業之日本社マンサンコミックス:2016、2、12)
漫画『深夜食堂』で知られる著者は、土佐・中村の出身。四万十川のあるところですね。「なんということのない話」を土佐・中村の言葉で言うと「なんちゃあない話」。この言葉、読売テレビの社内で使っているM君という後輩がいるが、彼は土佐の出身だったのかな?
著者がデビューに至るまで、そして『深夜食堂』で売れるまでをつづったエッセイ&漫画。
デビュー作の『山本耳かき店』、読んでました。そうか、そうだったのか。しかも早稲田大学の漫画研究会出身で、入学が1981年。大学の1年後輩だ!僕は、漫研ではないけど。その漫研での2学年先輩が、あの「ずんずん調査」の堀井憲一郎さんだったとは!その堀井さんとの対談(堀井さんがインタビュアー・聴き手になっている)が巻末にたっぷりとあり、それを読むと、著者と同期に町山智浩さん!後輩に、けらえいこさんが!そうだったのか!また、漫画家デビューしたのが41歳で、それまではCMディレクター。漫画のコマ割りは時間の経過を表すので、そのスピードをどう表すかをCMディレクターで学んだと。そういうものなのね。41歳まで、漫画とは違う仕事をしたことが役に立ってますね。現在まで独身。漫画が好きで好きで、凝り性。芸術家肌ですねえ。でもジワッと伝わって来る絵だし、話・ストーリーですよね。同世代だし。「線」へのこだわりもすごい。「漫画家」にとっての「線」って、「作家」にとっての「文体」のようなものかもしれませんね。「文体」は多少分かっても、「線」へのこだわりと「その差」までは、我々・素人はわかりま「せん」が。
なお、ペンネームは「あべ・やろう」と読みます。「よるろう」ではありません。「夜郎自大」からきているそうです。巻末の堀井さんとの対談に書いてありました。また、本名の名字の表記は「安部」だそうですが、「字画」などを考えてペンネームは「安倍」にしたところ、運が向いて来たそうです。