新・ことば事情
6005「空気感」
2月24日の日テレ『スッキリ!!』で、デジカメが主流の現在、フィルム付きレンズの
「写ルンです」
がブームだという話題を放送していました。その中で、なぜ「写ルンです」なのか?という問いに対して答えた、「写ルンです」愛用者の女性が、
「デジカメとは違う『空気感』がいい」
と言っていました。この、
「空気感」
という言葉、何気なく聞き逃しそうですが、恐らく「辞書に載っていない言葉」なのではないでしょうか?同じ意味の別の言葉に言い換えると、
「雰囲気」「ニュアンス」
のような言葉になると思います。グーグル検索では(2月24日)、
「空気感」=97万8000件
も出て来ました。「ウィキペディア」では、
*「空気感(くうきかん)とは芸術表現に用いられる形容の一つ。そのものが直接的に表現されていなくても、間接的な情報のみで存在することが示唆されている様子を表す。写真表現で用いられる場合は、二次元である写真がまるで立体のように見えることを指す。(以下略)」
とあり、まさに今回のケースに当てはまる言葉です。そうか、「写真」関係の専門用語なのか。でも最近、一般の会話でも耳にする気はします。
また、ネットの「goo辞書」では、
*「人や場所などがもつ雰囲気。また、写真や映像などで、その場の雰囲気を感じさせる表現のこと。(例)『旅の―を楽しむ』『―のある写真』
として、「写真、映像」が元だけど、より広い意味でも使われている例が載っていますね。
本当に「辞書に載っていない」のか、実際に「国語辞典」を引いてみましょう。
『精選版日本国語大辞典』『明鏡国語辞典』『デジタル大辞泉』『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『広辞苑・第6版』には「空気感染」は載っていても、「空気感」は載っていませんでした。
しかし、新しい言葉をいち早く載せることで有名な『三省堂国語辞典・第7版』を引くと、やっぱり載せていました!
*「空気感」=ふんいき。(例)ユーモラスな空気感
さすが、飯間さん、早い!シンプルです。「三国」が載せているということは、かなり世の中で使われている言葉であるということだと思います。