新・読書日記 2016_030
『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』(内藤陽介、日本郵趣出版:2015、11、15)
著者の内藤さんから贈って頂いた。ありがとうございます。読むのが遅くなってすみません。
「ペニー・ブラック」
こう聞いて、すぐにそれが指すものが分かる人は、どのくらいいるのだろうか?
実は私は、小学校2年生の時から知っていました。1969年(昭和44年)、今から47年前ですね。当時流行していた切手収集が趣味だった私は、切手の歴史などにも興味を持ち、1840年に世界で初めて発行された切手=イギリスの「黒い1ペニー切手」、通称「ペニーブラック」と、「郵便の父」と呼ばれる「ローランド・ヒル」について、「水原明窓さん」という方が書かれた冊子を読んで知っていました。「ポンド」の下の通貨単位が「ペンス」で、「ペンス」は複数形で、単数形は「ペニー」と呼ぶことも知っていました。そして、その話を、小学校の国語授業の中で当時行っていた、興味のある出来事について1分か2分、話すという「お話の時間」(つまり、「スピーチ」ですね。当時の担任の久保井寛子先生、先進的な国語教育をされていたと思います。毎日「詩」も書いていました。そして大阪の堺市では「はとぶえ」という月刊の冊子があって、そこに小学生たちの作文や詩、習字の作品を出して、優秀作が掲載されていました。))に披露したのを、今も覚えています。(あれって、聞いてるみんなは、分かってくれたのだろうか?)
本書で47年ぶりに、「ペニー・ブラック」と再会(と言っても、実物にお目にかかったことはないのだけれど)を果たすことが出来ました。
内藤さんったら、いきなり「もし、『ペニーブラック』を買うとしたら、使用済み切手なら、結構、手軽に手に入りますよ」なんてお誘いをかけているが、まあ、買うことはないでしょう。(でも、「一番安い種類のだと、5000円とか」言われると...ちょっとだけ、食指が・・・)
本書はカラー写真をふんだんに掲載し、しかも109ページというコンパクトさ。(お値段は、2350円+税と、少し値が張りますが)内容は、2段組み(本当は3段だけど、写真があったりするので、文章は1段か2段)で、内容は大変濃い。
切手が登場する前のイギリスの郵便制度の話から始まって、「ヘンリー8世」の時代(16世紀)の駅逓長官の話など興味深い。「ヘンリー8世」って、離婚できないカトリックを嫌って「英国国教会」を創っちゃった王様でしょ?本書には、こう記されている。
「世継ぎを確保し、自らの性欲を満たすため、生涯に何度も離婚と結婚を繰り返した国王としても知られ、1535年、英国国教会を創立したことでも有名です」
世界史の教科書には「性欲満たすため」なんて、絶対に書かれていませんから、これは「大人のおも・・」もとい、「大人の教科書」ですね。しかもちゃんと「ヘンリー8世の肖像が描かれた切手」もカラーで載っていて、
「こんな『トランプのK(キング)』に出て来そうな顔をしたヤツだったのか、ヘンリーは!」と思いました。
1か所、36ページに「誤植では?」と思われる箇所が。(最近、こんなの見つけてばっかりで、済みません)恐らくですが、
×「星室庁」→○「皇室庁」or「王室庁」では?
と思ってネット検索したら、合ってました!あったんですね、
「星室庁」
というのが!ウィキペディアですが、
『「星室庁(せいしつちょう)」=(The Court of Star Chamber)は、テューダー朝からステュアート朝前期のイングランドにおいて、国王大権のもと開かれた裁判所である。』
知りませんでした。勉強になりました、ありがとうございます!