新・ことば事情
5998「大阪の『ウチ』と京都の『ウチ』」
「自分」=「一人称」を指す関西弁の、
「うち」
ですが、大阪弁の「ウチ」と、京都弁の「ウチ」は、アクセントが違います。
*「大阪」=「ウ\チ」(頭高アクセント)
*「京都」=「ウ/チ」(平板アクセント)
です。NHKの朝ドラ『あさが来た』で、主人公あさと、娘の千代が「自分」を指す言葉のアクセントは、
「ウ\チは」
と「頭高アクセント」でした。『大阪ことば事典』(牧村史陽)でも「ウチ」を引くと、
「ウ\チ」
と「頭高アクセント」になっています。そして、
「これを『ウ/チ』と発音すると、品が悪くなる。『アン/タ』(貴方)と同じ用法である」
と記してあります。やっぱり大阪と京都は、違うんだな・・・というか、京都を攻撃してませんか?牧村さん。
『あさが来た』の中で気になる関西弁のアクセントとしては、
「女学校」
があります。ドラマでは、
「ジョ/ガッ\コー」
と「中高アクセント」でしたが、これでは「共通語と同じアクセント」です。
この「大阪弁」のアクセントは、
「ジョ\ガッコー」
と「頭高アクセント」なのではないでしょうか?私が子どもの頃に聞いた、祖母などの会話では、アクセントは「頭高」で、
「ジョ\ガッコー」
だったと記憶しています。我ながら、よくそんなの覚えているもんだなあ。でも、自然と頭に残っていますね。祖母の生まれ育ちは、三重県の伊賀上野なんですが、大体アクセントは「関西風」でした。ただ、「京都風」の言葉と「大阪風」の言葉が交ざっていたような気もします。祖母は、
「あれ、コワイ」(ア\レ・コ\ワイ)
「どんならんこって」(ド\ン・ナ\ランコッテ)
と口癖のように言っていました。「あれ」は、「まあ」「あら」というような「間投詞・感嘆詞」ですね。「コワイ」は、
「大変!」
みたいな意味です。また「どんならん」は、
「どうもならん」
が訛った「大阪弁」だと、後で知りましたが、当時見ていた人形劇『ひょっこりひょうたん島』の登場人物、
「ドン・ガバチョ」
みたいだなと、子ども心に思っていました。今じゃもう、耳にしなくなった言葉ですねえ。
最近ほとんど耳にしなくなった言葉と言えば、このドラマでよく出て来る言い回しに、
「あらしまへん」
がありますね。これも、懐かしい響きの言葉ですねえ。