新・読書日記 2016_020
『112日間のママ』(清水健、小学館:2016、2、13)
アシミケンの愛称で知られる、読売テレビの後輩・清水健アナウンサーが、本を出しました。これは応援してやらねば!と、本屋さんでさっそく購入。読み出すと、一晩で読んでしまいました。まあ、登場人物がみんな、知ってる人ばかりというのもあるし。
ご存じの方も多いと思いますが、清水アナウンサーは、2013年5月に結婚して、翌年秋に長男が生まれたのですが、その4か月後に、奥さんが「乳がん」で、29歳の若さで亡くなってしまうのです。「幸せの絶頂」と「不幸のどん底」を、まるでジェットコースターのように味わってしまいました。
奥さんはスタイリスト。私もお世話になったことがあります。シミケンとは「職場結婚」です。「がん」が発覚するのと「妊娠」が分かるのが、ほぼ同時。しかも「がん」は見つかった時には、もうかなり進んだ状況であった。「産むか、産まないか」。「がん」の治療はどうするのか。命のろうそくの炎が、いつまで燃えることができるのかもわからない中で、究極の選択を、奥さんとシミケンは選ばなければならない。しかもそれは「2つの命の選択」という重いものなのです。
本書には、シミケンがキャスターを務める『かんさい情報ネットten.』の坂チーフプロデューサーが、シミケンの結婚披露パーティーの祝辞で述べた言葉が引用されています。
「皆さん、ご承知のとおり、この男は人一倍、小心者です。そして、にもかかわらず人一倍、かっこつけたがりです。そして、人一倍、見栄っ張りです。(中略)けれども皆さん、これまた皆さんご承知のとおり、それでもなお、彼は憎めないやつなんですね。この上は、皆さん、ぜひこの清水健を、『かんさい情報ネットten.』で一番にしてやっていただきたい。報道キャスターとしての挑戦を、ぜひ成功に導いてやっていただきたいと、切にお願いいたします」
これ、当時、現場で生で聞きましたけどね。その通りなんだけど、「選挙演説か!」思って失笑してしまいましたが・・・。あ、堺市長選で、維新から出馬要請が来たときの話も、出て来ます。
この本は、シミケンの「奥さんへの愛」を「形として」残しておきたい、世間の人に「僕の素敵な奥さん、こんなに頑張ったんだよ」と知ってもらいたいという思いから生まれたのだろう。また、天国にいる奥さんにも、「頑張ってるで!心配せんでもええで!」と伝えたい気持ちで書かれたんだと思う。大変な体験をして、最愛の人を失い、最愛の息子を得ることが出来たシミケンの人生の闘いは、まだその途上です。頑張れ!
(「あとがき」は、この本には書かない方が良かった。君の心の中だけに残しておいた方が良かったと思う。)