新・ことば事情
5993「発表か発令か?」
2月5日の新聞用語懇談会放送分科会で、こういう質問をしました。
『「発表」「発令」の表現について~中国で「PM2.5」の大気汚染がひどい日に「赤色警報」というのが出されましたが、これは「発表されました」でしょうか?それとも「発令されました」でしょうか?今回「発令」を使った報道を、いくつか耳にしました。10年ほど前に気象庁に電話して尋ねた際は、「注意報」も「警報」も「発表」であるとういう答えで、「大雨洪水警報や光化学スモッグ注意報・警報は、『発令』と言っていた気がするんですが・・・」と聞いたところ、「いえ、『発表』です。基本的に『発令』というのは『命令』ですから、気象庁にはそういう権限はありません。『避難命令』などを『発令』するのは、自治体の首長です」という答えだったのでした。各社の「発表」と「発令」の使い分けの現状は、いかがでしょうか?』
これに対する各社の回答は、
(MBS)気象庁の出すものは「発表」。「避難命令」は「自治体の首長」が出し、「光化学スモッグ」も「都道府県」(の首長)が出すので「発令」。
(ABC)「災害対策基本法」に基づく「命令」は「発令」。
(フジテレビ)中国の「赤色警報」の場合は、「外出規制」や「工場の操業制限」などの「命令」を伴うので「発令」。
(日本テレビ)中国の「赤色警報」は、「学校の休校措置」などを伴うので「発令」。
(テレビ朝日)「発表」も「発令」も使わず、全部「出されました」。中国の「北京環境保護局重度大気汚染応急措置部」では、「赤色」ではなく「"紅色"警報」と書いているらしい。また、中国語の漢字では「発令」ではなく「発布」と書いて、意味上は「発表」に近いようだ。
(NHK)「気象警報」は全て、「発令」ではなく「発表」か「出された」。
というものでした。