新・読書日記 2016_010
『アウシュビッツの手紙』(内藤陽介、えにし書房:2015、11、11)
郵便学者・内藤陽介さんから頂いた一冊。いつもの本と同じように、資料として切手や郵便物の写真をふんだんに掲載している。いつもは「カラー」で載せるために、上等な分厚い紙を使っていて、本自体を持ち運びして読むのにはちょっと重いのだが、この本は写真がたくさん載っているものの、写真は白黒なので紙も薄手で持ち運びしやすく、読みやすい気がする。
強制収容所からの手紙を読み解いていくことで、ドイツが犯した過去の罪を、改めて学び、「平和」とは何かに思いをいたすことの重要性。「はじめに」に書かれていた、1985年のワイツゼッカー大統領(当時)の有名な演説からの引用が印象的だ。
「過去に目を閉ざす者は、結局のところ、現在にも盲目となる」
「『歴史の中で戦いと暴力に巻き込まれる』こと(=戦争)はどの国にも起こりうるが、『ユダヤ人という人種をことごとく抹殺する』ことは無比の犯罪だとして、ナチスの犯罪をまったく別の次元のものとして語っている」
という。『ワイツゼッカー演説集』の文庫本は家の本棚にあるはずだから、捜し出して読もうと思った。
「アウシュビッツ」は、現在のポーランドにある。(「ドイツにある」と思っていた!)
ポーランド語では「オシフィエンチム」という名前の町である。24年前、ドイツにあるユダヤ人の強制収容所跡を見学したことがあるが、ここで出て来るアウシュビッツの写真も、それととてもよく似ているものであった。
この本を読んで感じることは、二度とこのような事態を起こしてはいけないということだ。「ヘイトスピーチ」なども、系列で言うと、このアウシュビッツにつながりかねない事態であると思った。
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