新・ことば事情
5966「日本出身力士」
今年の初場所は、大関・琴奨菊が14勝1敗で初優勝を飾りました。ここのところずっと、モンゴル勢を中心とした外国出身力士が優勝を独占していたので、「日本出身力士」の優勝は2006年初場所の栃東以来、ちょうど10年ぶりになるそうです。おめでとうございます。
さてこの、
「日本出身力士」
という表現ですが、
「日本人力士」
とは、どう違うのでしょうか?おそらく、「外国人力士」が「日本国籍」を取得したりするケースがあるので、その場合、
「外国出身の日本人力士」
というのも出て来ているのでしょう。そこで、「現在の国籍が日本」かどうかだけではなく、
「日本出身の日本人力士」
を指して、長いので少し短くして、
「日本出身力士」
としたのでしょうね。ちなみに、1月25日の各紙朝刊の見出しは、
「読売・朝日・毎日・産経」=「日本出身力士」
でしたが、「日経」のみ、
「国内出身(力士)」
でした。ただ「日経」も「本文」では「日本出身力士」としていたので、なぜ「見出し」だけ「国内」にしたのかは、わかりません。また、「読売」は、「見出し」は「日本出身力士」でしたが、「本文」の中では、
「日本人力士」
という表現も出て来ました。厳密に区別しているわけでは、ないのかもしれません。
グーグル検索(1月25日)では、
「日本人力士」 =43万4000件
「日本出身力士」=69万9000件
「日本人力士・琴奨菊」 =21万6000件
「日本出身力士・琴奨菊」=63万4000件
でした。なお「ミヤネ屋」でも、
「日本出身力士の優勝」
という表現を使いました。過去10年の優勝力士の中に、2012年5月場所で優勝した「旭天鵬」が、「ウィキペディア」によると、
「2004年1月に日本国籍の取得を申請し、2005年5月12日にモンゴル国籍を離脱、2005年6月22日に日本国籍を取得して、モンゴル出身力士としては初となる日本への帰化を果たした。」
とありますので、優勝時は、
「(モンゴル出身の)日本人力士」
だったのですね。ただ、貴乃花に関しては。現時点での「最後の日本出身横綱」ではなく、「最後の日本人横綱」
と、「日本人」を使いました。
なお、1月25日のテレビ朝日・NHKのお昼のニュースはともに、
「日本出身力士」
としていました。また、日本テレビの1月25日夕方の「every.」でも、
「日本出身力士」
と呼んでいました。