新・ことば事情
5961「桂 春團治」
1月9日に「上方落語・四天王」の最後の一人、
「桂春團治」
師匠が亡くなりました。85歳でした。さて、この「春團治」の
「團」
の字は、いわゆる「旧字体」です。「くに構え」の中が「専」です。
これに対して、現在使われている「略字」では、「くに構え」の中が「寸」の
「団」
ですから、その漢字を使うと、
「桂春団治」
となります。「一般紙」の1月14日の紙面(「毎日」のみ「朝刊」、あとは「夕刊」)を見ると、「読売・朝日・毎日・産経・日経」全紙、
「団」
でした。
また、1月14日と体調不良で一門会を欠席したことを伝える去年10月4日の紙面などを「スポーツ紙」で見ると、「団」と「團」に分かれています。
(団)=スポニチ・報知・日刊・
(團)=サンスポ・デイリー
と別れました。ただ、「デイリー」は、2013年9月10日と12月29日の記事では、「団」を使っていました。最近「團」に変わったのでしょうか?
「ミヤネ屋」では、歌舞伎の「市川團十郎」さんが亡くなったときに、
「伝統芸能の場合、当人が『旧字体』を使用する名前はそれに従い、『旧字体』で書く」
ということで、
「團」
を使うことにしましたので、今回も、
「春團治」
と表記して放送しました。また、1月14日の「NHK」も、
「春團治」
と「旧字体」で、翌日の「朝日放送」(ABC)のお昼のニュースでは、
「春団治」
と「略字体」でした。
ちなみに、昔聞いた話ですが、作曲家でエッセイストとしても有名な、
「團 伊玖磨」
さんは、生前、「団 伊玖磨」と書かれたハガキや手紙は、
「これは、私宛てではない」
と言って、受け取らなかったそうです。