新・ことば事情
5954「ゼロ年」
吉永小百合出演111作目で、渡辺謙も出演している映画、
『北の零年』
を、DVDを借りて来て見ました。2時間48分。めちゃくちゃ長いけど、それほどの長さは感じさせない映画でした。公開当時は大変な話題作でしたが、7~8年前ぐらいかなと思ったら、なんと「2005年」公開。もうちょうど10年前の映画なんですね。(この映画のDVDを見たのは、「2015年8月」です。)
感想としては、
*香川照之(のちの市川中車)は、まるで竹中直人だ!
*石田ゆり子は、満島ひかりのようでした。
*北海道が舞台なのに、馬が「道産子」ではない!
*このとき借りたDVD4本のうち、『硫黄島からの手紙』『北の零年』と、2本に渡辺謙が出てる!
*1870年に北海道へ移住を命じられた淡路島の稲田家。当時は「北海道」か?「蝦夷」ではないのか?
*「殿が参られるまで皆で頑張るのだ」というセリフ、「参られるまで」はおかしいのでは?「おいでになるまで」あるいは「いらっしゃるまで」ではないのか??それと当時、「頑張る」を、そういう意味で使ったのだろうか??
*「殿が来るぞー」も、おかしかないか?「殿が来たぞー」も明らかにおかしい!
*音楽は、どこかで聞いた感じ。「ルパン三世」のような。
*「ええじゃないか」は1867年(慶応3年)、廃藩置県は1871年(明治4年)。ごちゃ混ぜでは。
など、いろいろ疑問も出たのですが、私が注目したのは、
「零年」
です。これの読みは、
「『ゼロネン』か?『レイネン』か?」
ということなのです。以前から気になっていました。
映画の中のセリフに
「我々は稲田の者だ。ともにゼロから始めた仲間だ」
というのがあったのですが、ここは「ゼロ」ではなく「一」からなのではないかなと思いました。でも、ここで「一から」と言わせたら、タイトルの「零年」の価値が下がってしまうような気もしますね。
また、そのタイトルの「北の零年」の読み方は、
「ゼロネン」
でした。ところが、英語でのタイトルは、
「YEAR ONE IN THE NORTH」
で、「ゼロ」ではなく「一」なんです。そう、暦は「0」から始まるのではなく、「1」から始まるのですよね。じゃあ、タイトルも、
「北の元年」
でも良かったのではないか?いや。「零年」という違和感のあるタイトルにしたからこそ、イメージが印象深いのだ!とか、いろいろ意見は出そうです。
ちなみに、この映画の監督はなんと『円卓』の「行定勲さん」でした!『円卓』、私もキャスター役でちょこっと出演しているので、また「初日挨拶」の司会の際に、行定監督とも会ったので、親しみを覚えているので、ちょっとびっくりしました。
この映画を見た翌日に放送していた、NHKの『Nスペ』では、
「戦後ゼロ年」
という表現を使っていました。この映画からヒントを得て、
使ったのかもしれませんね。