新・ことば事情
5953「『まんが日本昔ばなし』のアクセント」
きょう(1月18日)は、「まんが日本昔ばなし」のDVDの、市原悦子さんのナレーションによるコマーシャルが、頻繁に流れています。それを見て(聞いて)、
「あ、そうか、『にほん』ではなくて『ニッポン』なんだ」
と思っていたのですが、「ミヤネ屋」のプロデューサーで アナウンサーも兼務の野村明大デスクは、こんな点に注目していました。
「市原悦子さん、日本(ニッポン)のアクセントが、『ニッ\ポン』と関西弁のようなアクセントでしゃべっていますね?」
「ええ?そう?全然気づかなかった。次はそこを気にして聞いてみるよ」
と答えたら、すぐにそのコマーシャルが流れました。
たしかに市原さんは、明大デスクが言うように、
「ニッ\ポン」
と言っています。標準語(共通語)アクセントなら、
「ニッ/ポ\ン」
と「中高クセント」になるはずです。なんでやろ?市原さん、関西出身?じゃないよね?調べたら「千葉市」出身でした。関西ではありません。少し考えていたら、ピンポーン!きっとこれが正解だという答えがひらめきました。
市原悦子さんはきっと、
「マ/ンガニッ\ポン・ム/カシバ\ナシ」
というように「まんが日本」で「一つの言葉」と捉えて読んでいるのです。
私達は、「まんが」「日本」「昔ばなし」と、意味で「3つに分けて区切っている」あるいは、「まんが」「日本昔ばなし」の「2つに区切って」、
「マ/ンガ・ニッ/ポ\ン・ム/カシバ\ナシ」
と読むのですが、市原さんは今回、その意識がなかったのではないでしょうか?
「三色」を表すフランス語、
「トリコロール」
も、本来の意味は「トリ=3」「コロール=色」だから、
「トリ・コロール」
なのに、日本人はこの「6文字」を半々に分けて、
「トリコ・ロール」
と真ん中で分けてしまうような意識がありますが、今回の市原さんにも同じような意識があったのではないでしょうかね?