新・ことば事情
5939「パラ五輪」
ことし(2016年)は、「リオ五輪」の年ですが、それを控えた去年(2015年)9月、新聞用語懇談会放送分科会で、毎日放送の委員からこんなテーマが出されました。
「毎日放送では、8月30日放送の『情熱大陸~車いすテニス選手編』で「リオパラ五輪」という表記(スーパー)を使いました。理由は「もう一つのオリンピック」とHPにあるので。略称について各局の実情について教えてください。
【日本パラリンピック委員会HP】
パラリンピック(Paralympic)とは、4年に1度、オリンピック終了後にオリンピック開催都市で行われている「もう一つの(Parallel)+オリンピック(Olympic)」のこと。夏季競技大会と冬季競技大会が開催されている。」
これに対する各社の回答は、
(読売新聞)「パラ五輪」という表記は、大阪版で一度出たことがあるが、東京本社では使ったことがない。
(TBS)「東京オリンピック・パラルリンピック」と正式に言うように、「情報番組」では、やっている。
(ytv)日本テレビからスーパーは「東京オリンピック・パラリンピック大会実行委員会」と正式名称を出すように言われているが、長いのでその場合は省略して「大会実行委員会」としている。「パラリンピック」を「パラ五輪」としたことはない。
(フジテレビ)先日「ブラインドサッカー」の取材では、「障害者スポーツ」全般のことを、「パラスポーツ」という言い方をしていた。この言い方は今後、増えて来るかもしれない。
(テレビ東京)「パラリンピックのマーク」は「五輪」ではないが「パラ五輪」?両方必ず一緒に「リオ五輪・パラ五輪」と言うのか?単独の「パラリンピック」は「パラ五輪」ということ?
(MBS)今回は「パラリンピック」だけを指して「パラ五輪」と使った。
会議から帰って来て調べた日本パラリンピック委員会」のHPには、
「ジャパンパラ陸上競技大会」「ジャパンパラ水泳競技大会」「ジャパンパラゴールボール競技大会」
などの表記がありました。
また、2016年1月13日の「毎日新聞」のスポーツ面の、
「ハンドから転向リオ目指す新星」
と見出しの下で、
「パラ陸上短距離 辻沙絵」
という小見出しがありました。
どうやら「パラリンピック」の省略形は「パラ五輪」ではなく、
「パラ」
になりそうな感じですね。
グーグル検索で「パラ五輪」は(1月14日)、
「パラ五輪」=1万8900件
と、あまり多くありませんでした。また、「解散か?」と報じられた「SMAP」が「2020年パラリンピック」のサポーターを務めているとういう話題でも「パラ五輪」という見出しは見かけませんでした(私の見た限りでは)。
ちなみに、読売テレビの土曜・朝の人気番組、
「あさパラ!」
の「パラ」は、
「パラダイス」
の省略形です。
また、以前に調べた資料によると、2015年の11月23日付の「山陽新聞」に、
「リオ・パラ五輪」
という表記が出て来ていました。
「障害者陸上世界選手権で優勝し リオ・パラ五輪代表に内定した佐藤鵜友祈(ともき)さん」
という、人物紹介の欄での「見出し」でした。
また「毎日新聞」(2015年11月1日付)と「静岡新聞」(2015年10月28日付)には、
「リオ・パラ枠獲得」
という表記で、「パラ」と短く「パラリンピック」を省略した形が出ていました。