新・ことば事情
5923「『例年』と『平年』の違い」
12月7日の「ミヤネ屋」の放送前に、Nディレクターから質問が。
「暖冬で、野菜の値段が安くなっているという話題なんですが、原稿の中に『例年より安く』という表現と『平年より2~3割安く』という表現の『2種類』出て来るんですが、これは『例年・平年』の、どちらを使ったほうがいいんでしょうか?」
「うーん、似ているけど違うね。『例年』は『いつもの年』であり、これを使う場合は『例年、12月に行われる恒例のイベント』のように使うけど、『平年』は『平年12月に行われる恒例のイベント』とは使わないね。『平年』は『平=ならした=平均』という意味で、まさに気温などのデータを平均した場合と、もう一つは、『平=(何も)特別なことがない』という意味かな。ということで、今年の野菜の値段を比べるのであれば『データ』だから『平年』を使った方がいいのではないかな。それに対して、もし例えば今年は『柿』の生育が良くて、いつもの年より早く収穫しているということであれば『例年』を使って、『例年より早く収穫が始まった』などと使いますね、『平年』ではなく『例年』。」
と答えたら、Nディレクター、
「分かりました!では『平年』でいきます!」
と、編集室に走って行きました。