新・ことば事情
5905「関心ごと」
『週刊文春』2015年10月8日号の「阿川佐和子のこの人に会いたい」という有名な対談コーナーに出ていた、作家の赤川次郎さん。その会話の中に、
「アメリカの関心ごとは、次の大統領選で」
という一言があり、気になりました。
「関心ごと」って、普通は「関心事」と書いて、
「かんしんじ」
と読む(言う)のではないでしょうか?
以前書きましたが(平成ことば事情5382「自分事」)、最近の若者は「私事(わたくしごと)」のことを、
「自分ごと」
と言う傾向があると。この赤川さんの「関心ごと」も、一連のその流れではないかと思うのです。しかし、一般の若者が使う「自分ごと」のような言葉はともかく、プロの作家の赤川さんが「関心事」を「関心ごと」などと話してしまうのは、かなりマズいのではないか?と感じましたが、いかが?
グーグル検索では(11月23日)
「関心事」 = 61万6000件
「関心ごと」= 14万6000件
「私事」 =185万0000件
「自分事」 = 29万9000件
「自分ごと」= 24万2000件
でした。「関心事」の検索でトップに出て来たのは「教えて!GOO」という質問サイトで、
「『関心事』の読みって『かんしんごと』は間違い?」
というものでした!やっぱりよく使われていて、気になる人もいるんだ!その回答の中に、
「『心配事』は『しんぱいごと』と読むのに、『関心事』は、なんで『じ』なんだろう?」
という疑問も書かれていました。あ、そうか「心配事」からの類推で「ごと」が出て来ているのか!書き言葉がすたれて、話し言葉に移り変わっている途中なのかもしれませんね。でも、「関心事」が「関心ごと」と読まれてしまう恐れがあることは、
「心配事」
ではあります。グーグル検索では、
「心配事」 =73万7000件
「心配ごと」=39万78000件
でした。