新・読書日記 2015_161
『小説 新聞社販売局』(幸田泉、講談社:2015、9、8第1刷・2015、10、5第2刷)
全国紙の大阪本社。その編集部の記者だった男が、局長の怒りに触れ、希望していない販売局に飛ばされ、さらにそこから、普通は記者だった人がやらない「販売員」という仕事をする。望まない仕事ながら一生懸命やって行くうちに、いろいろな裏側が見えて来て、「復讐」を遂げていく。前半は「小説」というよりも、新聞社の販売店の現状などを裏側から描いた「実録もの」のような感じ。著者は、まさにこの小説の主人公のように、新聞社に入社して記者をやってから販売局に異動して、2014年に退社しているし。後半でようやく「小説」になっていく。「ドキュメント」プラス「池井戸潤(半沢直樹)」のような感じか。「改廃」「現読」「残紙」「押し紙」「即止め」「無読層」など、ふだんあまり耳にしない「専門用語」が飛び交う。
実は、ここで出て来た局長の不倫相手の名前(名字)が「中里(沙織)」。そして、この小説を読み終わってすぐ読み始めた、池井戸潤の新作『下町ロケット2』(現在、読んでいます!)に出て来た、佃製作所の中で不満を募らせる社員も、名字が「中里」!なんで?そんなによく出て来る名字じゃないのに。著者は1989年入社と書いてあったので、私より4~5歳年下の「49~50歳」ぐらい。池井戸潤は1963年生まれだから「52歳」。ほぼ同世代だ。50歳前後の人にとって「中里」って、なんか共通のものがあるのかな?と思ってしまった。私も同世代だが、特に思い当らない。偶然の一致?全然、関係ない話ですが。
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