新・読書日記 2015_159
『騙されてたまるか~調査報道の裏側』(清水潔、新潮新書:2015、7、20)
元・写真週刊誌「FOCUS」の記者で、その後、日本テレビの記者となった著者は、一貫して「現場に足を運ぶ」ことを取材の基本として、きっちりとその姿勢を貫いている。その中から救い上げた「現場の小さな声」の中に潜む"真実"のかけらを、丁寧に・丹念に調べていくと、警察発表や裁判所の判断、他社が報じた"事実"に「齟齬」が生じる。過去にいくつもそういった経験をしてきた。それが実を結んで、真犯人の特定や(桶川事件)、再審無罪を勝ち取ること(足利事件)につながって来た。その体験をまとめたもの。足利事件に関しての経緯は、以前、同じ著者の『殺人犯はそこにいる』で読んだ気がした。
しかし、なかなかこういった取材(調査報道)を毎日のようにできないまま過ごしてしまう私たちにとって、座右の一冊として、忘れないようにしたいものである。
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