新・ことば事情
5895「なぜダマはタマじゃないのか?」
「ミヤネ屋」の「愛のスパルタ料理塾」のレシピの文言チェックをしていたら、こんな気になる一文が。
「豚ミンチを押さえながら炒めると、ミンチがダマにならない」
この中の、
「ダマ」
に注目です。これは「塊・固まり」の意味ですよね。つまり、本来なら、
「タマ」
と濁りませんよね?「かたまり」の真ん中の「たま」が語源かもしれません。
これが「ダ」と濁るのはなぜなのか?考えてみました。というか思いつきですが。
濁る原因の一つとして考えられるのは、
「連濁」
です。つまり「タマ」の前に、何らかの言葉が付いたことによって、
「とんぼだま」「あめだま」「鉄砲だま」
のように濁るケースですね。この「ダマ」も、元は何かが頭について
「○○ダマ」
となった後に、その「○○」が省略されて、「ダマ」だけが残ったのではないでしょうか?
もし、そうだとすると、元の「○○」は何か?
と、ここまで考えてから辞書を引きました。『精選版日本国語大辞典』。
*「だま」=(1)米・麦などをたいた飯の中に、半煮えなどでかたまりとして残っているもの。(2)小麦粉を水などで溶いた時、なめらかにならずにできるかたまり。(3)(略)。
たぶん、私達がふだん目にする「だま」は(2)のほうですが、言葉の起源としては(1)のほうが古いのでしょうね。そうするともとは、
「米粉だま」「麦粉だま」
だったのではないでしょうか?と想像しました。