新・読書日記 2015_157
『ニッポン語の散歩』(石黒修、角川新書:1963、10、10)
だいぶ前に「古本市」で買った本。読みかけたままになっていたが、なんとなく読み通してみたくなって読みました。本は、昭和38年(1963年)10月10日に出たもの。つまり52年前の本。当時の「ことば事情」がわかる。
この石黒修という人は、明治32年(1899年)生まれ。法政大学や東京教育大学、東北大学などで講師をした言葉の専門家(言語学)。昭和55年(1980年)に亡くなっているようだ。
こういう古い本を読むと、タイムマシンに乗って過去にさかのぼったような気がして、楽しい。73編の言葉のコラムのトップバッター、「まえがきにかえて」のテーマは「ニホンとニッポン」。まさに、古くて新しいテーマですねえ。この本のタイトルも、普通だと「ニホン語」なのに、なぜか「ニッポン語」。なぜなんでしょうかねえ。
それにしても、50年前から読み方やカタカナ語(外来語)の扱い、漢字の扱いに悩んでいる様子が分かって、
「なんだ、今も昔も、全然変わってないじゃないか」
と知ることができた。
男女の関連の言葉として、「女史」の扱いに関してこんな記述があったので記しておく。
「昔シナで記録のことを扱い、日本でも文書を扱った女官を『女史』といったが、これを知名の女性に対する敬称として、さらに愛称、蔑称にも使うようになり、うっかり用いると、ごきげんを損ずることもできてきて、近ごろは『女史』は敬遠されがちになった。」(206ページ)
もう半世紀前から、「女史」という言葉の価値は低減していたのか!また、「シナ」という表記(言葉)は、半世紀前(戦後ですが)はOKだったのか。さらに続けて、
「このごろは未婚の女性にはミスにならって、『嬢』も用いられるが、『嬢』はもと良家の娘という意味である。」
そうでしたか。勉強になりました。