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『道浦TIME』

新・読書日記 2015_148

『じみへん 仕舞』(中崎タツヤ、小学館:2015、8、31)

 

先日、連載が終わり、著者が「断筆宣言」をした。その最後の連載をまとめたもの。見開き2ページ・15コマの漫画。第903回から第1171回までを収録。これにて仕舞。

最初の頃と比べると、文字が少なくなって、絵も白っぽくなっている。連載時に比べて、単行本ではサイズが小さくなっていたので、老眼の私には読みにくかった。

そんな中で注目したのは、「ラーメン店」が舞台になっている回だ。

たとえば「第917回」では、そのラーメン店の「ラーメン」と「カタカナ」で書かれた「のれん」が外から見て描かれていて、文字は雑な斜線で塗られていて「ン」の右側が半分ぐらい隠れている。

「第922回」では同じく外から見た「のれん」のカタカナの「ラーメン」の文字は、黒く塗りつぶされていて、「ラ」の左半分と「ン」の右端が欠けている。

そして問題は「第943回」。今度は「のれん」が「店内から」見た背景として描かれている。そして白地に黒で書かれた文字が、なんと「平仮名」で「らーめん」になっているのだ!正確には「ら」は見えず、「-めん」の「裏文字」なのだが。この店は「2種類ののれん」を持っているのか?それとも「第917回」「第922回」とは「別の店」なのか?でも、出て来る「ラーメン店の主人」は同じ人物だ。

さらに不思議なのは「第958回」でも、店内から裏文字であるが、今度は「黒地に白抜き文字」で「ラーメン」という「カタカナ」に戻っている。3種類目の「のれん」だ。

そして「第960回」は、また店内からの裏文字で、今度は「白地に黒文字」の「カタカナ」で「ン」だけが見える。また変わった!

このラーメン店が出て来る最後は「第976回」。今度も店内からで、もう文字は見えない。「のれん」の端の「白い布」が見えるのみである。

その後、このラーメン店の店主は、孫と一緒に「おじいちゃん」として登場(第995回・1051回・1053回・1103回・1114回・1170回)したほか、不動産屋(第1000回)、研究所の博士(第1002回・1075回)、医者(第1037回)、夫(第1111回)、最後は「閻魔(エンマ)大王」(第1166回)にもなっている。いろんな職業を転々としているものである。

中崎さん、お疲れ様でした!

 

 


star4

(2015、11、1読了)

2015年11月 5日 14:06 | コメント (0)