新・読書日記 2015_146
『犬の掟』(佐々木譲、新潮社:2015、9、20)
帯には「迷わず撃て。お前が警官ならば」。警官でなくて良かった。
なんか「集団的自衛権行使」の際の「自衛隊員」も彷彿するような・・・。
読んだ感想は「初期の"逢坂剛"のような感じ」。人間の業・心の闇を描いている。
実はこの本ですごく気になったのは、
「T字路」
という言葉。「1丁目・2丁目」の「丁(ちょう・てい)」を用いた「丁字路(ていじろ)」ではなく、「アルファベット」の「T」を用いているこの「T字路」が、3ページに、
「いまのT字路で右折するか」
と出て来ました。その後も
「T字路である」(42ページ)
「出てすぐのT字路を右折して」(70ページ)
「松本はそのT字の交差点で車を右折させた。」(256ページ)
「T字路の街頭の灯りの下に」(227ページ)
と、たくさん出て来ました。
また、普通なら「タパス」が出て来る場面で「ピンチョス」が出てきたところで「おっ!」と思いました。「ピンチョス」とは、スペインのバスク地方の名物で、カナッペのような感じのおつまみのことです。
「波多野は東口のスペインふうの酒場の名前を出した。(中略)『知っていますよ』と高安は答えた。『二、三度入ったことがあります。うまいピンチョスを出すんです』」(192ページ)
それと「キーマン」ではなく「キーパーソン」が使われていましたが、それは「女性」だったからかな。
「そしていま、キーパーソンとして浮上してきたのは、大森署生活安全課の内田絵美である。」(211ページ)
最後に「四リットル」ではなく「四リッター」という表現も目につきました。
「いわゆる四駆タイプの車ですよ。四リッターの」(70ページ)
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