新・ことば事情
5883「受刑者か?元被告か?さんか?」
10月23日の「ミヤネ屋」で放送した、20年前に大阪市東住吉区で起きた放火殺人事件で「無期懲役」の判決が出た2人の受刑者に、「再審決定」と「処分の停止(=釈放)決定」が出たニュースでも、受刑者だった2人の肩書をどうするか?という問題が出て、読売テレビ報道局では、
「さん」
という敬称を付けました。系列のキー局『日テレ放送用語ガイド2011』の「事件報道での加害者の呼称」には、「服役中の再審決定」の場合は、
「受刑者または死刑囚」
となっていますが、今回は「処分の停止(=釈放)」の決定も出ています。「無罪推定が強いから」ということでしょうが、同ガイドによると、「釈放」の場合は、
「肩書または敬称」
になっています。「釈放」は「まだ」(=来週月曜14時の予定)ですが、「釈放決定」は「釈放」に準じるという判断からです。
ちなみに、私がチェックした範囲で他社は、
(NHK)受刑者
(MBS)元被告
でした。
10月23日の新聞の「夕刊」を各紙見てみたところ、
(読売)受刑者
(朝日)元被告
(毎日)元被告
(産経)元被告
(日経)元被告
と「読売」以外は全て「元被告」でした(TBS系列と同じ)。
週が明けた10月26日、お昼の各局のニュースを見ると、NHKでの肩書が「受刑者」から「元被告」に、MBSも「元被告」から「さん」に変わっていました。ytvは「さん」のままです。
(NHK) 元被告
(MBS) さん
(KTV) 受刑者
(ABC) 元被告
でした。NHKは、翌日27日に「さん」になり、読売新聞は27日朝刊で「おことわり」を出し、「両受刑者は、刑の執行が停止されたため。元被告とします」としています。