新・ことば事情
5877「おかまバー」
<メモとして書き始めたのは2006年12月。その際の番号は「平成ことば事情2819」でした。もう9年前のメモを書き継ぎました>
去年(2006年)12月18日のお昼のニュースを見ていたら、テレビ朝日が、
「おかまバー 脱税で摘発」
というニュースをしていました。え?ニュースで堂々と「おかま」なんて言葉を出す?とビックリしたのですが、字幕でも、
「おかまのショーが店の売り物」
という表現も出ていました。ネット版の「夕刊フジ」の見出しは、
「女装男性ショーパブ」
で、本文では、
「女装した男性が接客するショーパブを経営している男」
と書いていました。これに対して、日本テレビでは、
「ニューハーフショーを商売にするパブの責任者が・・・」
で放送していました。「おかまバー」では出しませんでした。
2007年2月1日の読売新聞の「Y&Yテレビ」という別刷りの紙面で、
「『おネエ』キャラ大集合」
という特集が載っていました。たしかに、
「おネエキャラ」
という表現も出てきていますね。
<そして、9年が経って。。。>
2015年10月8日、「ミヤネ屋」でディレクターが、
「『おかまバー』という表現が芸能コーナーで出て来るんですが、使ってもいいんですかねえ・・」
と相談に来ました。
「それはイカンなあ」
ということで、
「ニューハーフバー」
に代えてもらいました。
「性的表現」に関しては、あからさまに放送で表現するのは、放送の時間帯なども考慮しなくてはならない。「表現の自由」はもちろん考慮しつつ、その言葉・表現を耳にして目にして、視聴者が不愉快に思わない表現を、でき得る限り心掛けなくてはならないなと思いました。
(追記)
2012年10月に開かれた「関西地区用語懇談会」での討議内容が出て来ました。その際は、事前に幹事社から「いわゆる差別用語の使用状況について」というようなアンケートが各社に配られており、その回答の発表と意見交換という形でした。回答した社は全国紙5社、スポーツ紙4社、通信社2社、テレビ局5社、ラジオ局1社、地方新聞社8社の、合計25社でした。以下にその結果を記します。※( )内はテレビ局の数、★=ytvの回答。「規定なし」は「規定はないが、できるだけ使わない」という意味です。
(語) (使う) (規定有り使わない) (規定なし)
おかまショー 5 3(3)★ 17(2)
でした。
(2015、10、28)