新・ことば事情
5861「女社長」
8月18日の「ミヤネ屋」で、愛知県・大府市で女性の社長が、男性の部下を死に至らしめたという事件を報じました。その際に、
「女社長」
という表現が出て来て、これを、
「女性社長」
にするかどうかついて問題になりました。
普通「社長」を取り上げる場合は「女社長」というような「性別」を付けません。「性別」が重要で、もし付けるとしたら、
「女性社長」
とします。しかし今回は「容疑者」ということで、
「『女性』ではなく『女』」
になりました。放送ニュースでは、一般的に「良い人」は、
「男性・女性」
ですが、「悪いことをした人」は、
「男・女」
となります。この場合、
「『女』の社長が、男性の部下を死に至らしめた」
というところがポイントであり、
(1)社長とアルバイトという関係
(2)47歳と23歳という年齢差
(3)女性が男性を、という性別
が重要なので、
「女社長」
としたのです。
日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会編の『放送で気になる言葉2011』の31ページ「女子アナ」の項目に、その辺りの話が詳しく書かれています。
また『読売テレビ放送用語ガイドライン第三班』49ページには、
「女○○」
に関して使用は「△(=注意)」として、こう記されています。
「○○には職業などが入る(女教師、女社長、女弁護士など)。女性であることを強調する表現。必要以上に「女性」を強調したり、男性用の対語(男教師、男社長、男弁護士など)がないものは、原則として避けるべきだ。」