新・読書日記 2015_122
『21世紀の自由論~「優しいリアリズム」の時代へ』(佐々木俊尚、NHK出版新書:2015、6、10)
佐々木さんとは面識はないが、同い年なので勝手に親近感を覚え、本は大体、読むようにしている。いつも大変、勉強になる。ちょっと難しいけど。
今回は「日本でいま何が起きているのか」から始まり、「リベラル」と「保守」という対立構造が、昔とは変わってしまったと。今は、「リベラル」が「保守化」しているのだという。つまり「リベラル」の支え手であった「団塊の世代」が「高齢者」になったことを意味するのだと思う。そして「日本のリベラル」とは「一国平和主義」だと喝破。また、「一つの民族が一つの国家」という「国民国家」は、ヨーロッパが造り上げた「理念」であり、「多文化主義」を推し進めることによって移民・難民が増加し、結局「多文化主義」は崩壊。多民族による「国民国家」をも否定することになり、それはすなわち「ヨーロッパの理念の否定」につながっていくという。
ここ数年、私もようやく気付いた「『自由』と『平等』は正反対の概念」であるということにも触れ、人類は「豊かでない自由」と「自由のない豊かさ」のどちらを選択するのか?「平等でない自由」と「自由のない平等」のどちらを選択するのか?という局面に立たされているが、これは様々なトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たずの状態)に置かれていると。そうなると、結局は「バランス」なんだよね。最もよいバランスを、どこに置くかということになると思うんだなあ。
難しいけど、頭の刺激になる一冊です。ページの端を、いっぱい折っちゃった。
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