新・読書日記
2015_130
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(ジェーン・スー、幻冬舎:2014、7、25第1刷・2014、9、25第7刷)
このインパクトのあるタイトル、去年、本が出たときに本屋の店頭で目にして気になったが、「まあ、読まなくていいかな」と思って買わなかったのだが、1年たって、なんと東京の「国立新美術館」で「ニキ・ド・サンファル展」を見た時に、地下のミュージアムショップにこの本が並んでいて、しかも「第31回講談社エッセイ賞受賞」とデカデカと表紙に書かれていたので、ついつい買ってしまいました。
読み出したら面白い。文章の味としては「酒井順子+ナンシー関」といった感じか。「女子校出身者で未婚者」の持つ視点というのは「酒井順子」の影響をかなり受けている感じだし(それは、本文の中でも書かれている)、ちょっと乱暴に世の中をぶった斬る感じは、「故・ナンシー関」とか「マツコデラックス」のような感じがある。こちらも、共に未婚。
タイトルの文は、従来の普通の文章にすると、
「『貴様、いつまで女子でいるつもりだ』という問題」
というように「という」が入ると思う。その「という」を抜いている所が新鮮に見える。でも、どこかでこの文体を目にした覚えが・・・そうだ、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)だ!あの番組の中の特集のタイトルが、まさにこの「という」を省いた文体だ。あの番組は、関ジャニの村上君とマツコ・デラックスがMC。どうりで「マツコ味」がするはずだ。本書は、いまや増えつつあるであろう「結婚しないで働く女性」の視点を、恐らくは余すところなく語ってくれているのだと思う。「未婚女子のバイブル」となるか?その意味では、「未婚」でも「女子」でもない私にとっては、勉強になりました。
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(2015、9、21読了)
2015年9月25日 16:28
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新・読書日記
2015_129
『じみへん②』(中崎タツヤ、小学館:1992、11、10)
この間「2015読書日記111『じみへん(最終回)』で、
「『じみへん』は、連載が始まった頃の最初の単行本を持っています。持っているはずです、また捜しておきますが。」
と書いたが、捜したらあっさり出て来た。でも「最初の単行本」ではなく「2冊目(第2集)」だった。それでも1992年に出た物だから、もう23年前。初期の作品。
読んでみて驚いたのは、この頃はセリフの文字も多いし、絵もかなり描き込んでいて、全体の印象が「黒い」のだ。最近の「じみへん」は、あまりセリフもないし、「間」が大きなスペースを占めていて、全体にページの印象が「白っぽかった」のだ。もう、全然違う。いつ頃からこうなったのか?遡って調べてみるのは、何か、論文の題材になるかもしれない。この23年前の2冊目の単行本の「あとがき」には、こう記されている。
「始めてから3年以上たっているから、少しずつ内容が変化しているかもしれない。そのへんもお楽しみ下さい」
たしかに!
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(2015、9、17読了)
2015年9月25日 12:27
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新・読書日記
2015_128
『鉄道でめぐるゆるり京都ひとり旅』(羽川英樹、PHP京都しあわせ倶楽部:2015、9、22)
元・読売テレビアナウンサーで私の先輩の、フリーアナウンサーの羽川英樹さんの、たぶん2冊目の著書。事前に本が出るとは聞いてなくて、本屋の店頭で見つけて即購入、読みました!
羽川さんは「鉄道好き」、いわゆる「鉄ちゃん」を自認され、その関連のお仕事もしていますが、本書はそんな「鉄分」が思う存分味わえます!そして、私のように「特に鉄道ファンでもない人」でも楽しめます。読んでいるだけで、もうその「駅」周辺の場所やお店、名所に連れて行ってもらっているような気分が味わえます。それは恐らく、それぞれの路線・駅に、実際に羽川さんが行ったことがあるという「裏付け」があるからでしょう。
いくつかのお店のメニューに関しては「伝聞体」で書いているので、「あ、この店のこのメニューは食べてないんだな」ということもわかります。大変、良心的です。
羽川さんは子どもの頃から馴染んだ「京阪電車」に大変思い入れがあり(そういえば昔、京阪の全部の駅を『○秒で』言える!という「芸」を見せて下さいましたね。)、その分、一番力が入った記述になっていると思います。その「京阪電車」に乗りながら、この本を読みました!おすすめです!!
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(2015、9、17読了)
2015年9月24日 16:26
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新・読書日記
2015_127
『文系の壁~理系の対話で人間社会をとらえ直す』(養老孟司、PHP新書2015、6、29)
根っから文系の私には、理系の思考方法が、あんまりわかりません。帯には「文系が意識しづらい領域を、四人の理系の知性と語り合う」とあります。でも「文系」とか「理系」とかで分けるのは「受験」の時ぐらいで、後はあんまり関係ないと私は思うんですがね。
「四人の理系の知性」とは森博嗣(国立大学の教師兼作家)、藤井直敬(バーチャルリアリティーの専門家)、鈴木健(スマートニュース社長)、須田桃子(毎日新聞・科学記者)。
世の中は「技術革新」があって、それによって「世の中の形」が確かに変わっていく。「世の中の形」が変われば、「人の暮らし」も変わっていく。「暮らし」が変われば「意識」も変わり、「言葉」が「文化」が変わる。やはり、全部つながっているんだけど、その変化の方向やスピードは、現在どうなのか?ということ、最新の動向を、養老先生が専門家と対談することで探っていくという一冊です。勉強になるけど、ちょっと難しいです。
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(2015、9、10読了)
2015年9月24日 12:24
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新・読書日記
2015_126
『卑怯者の島~戦後70年特別企画』(小林よしのり、小学館:2015、7、20第1刷・2015、8、11第2刷)
「戦争」をテーマにした漫画。題材は「ペリリュー島」の激戦を参考にしたと言うが、読んでいると、「硫黄島」の激戦を思い浮かべる。リアルな心理描写。小林よりのりの大げさな絵が、全然大げさに感じないタッチで、グッと迫って来るものがある。これを読んだら「戦争は、絶対にしてはいけない」と誰もが思うだろう。「戦場」という「命」が懸かった究極の現場において、人間が如何に利己的な行為をするか、また、自己犠牲的な行為をするのか、「人格」とは何なのか、また「人間の弱さ」についても考えさせられる。そして、それは「敵」も同じであると。その意味では、これは紛れもなく「反戦漫画」である。
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(2015、9、1読了)
2015年9月17日 19:43
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新・読書日記
2015_125
『マグリット展図録』(京都市美術館:2015、7、11~10、12)
「ルーブル展」と同じ、京都市立美術館で同時に開催されているのが「マグリット展」。片方だけ観て帰るというのもなんだし、両方を一日で観ました。
マグリットの不思議な絵、そしてちょっとデザイン的な、写実的な絵は本当に魅力的。しかも、今回はかなりまとまった数の作品が展示されており、見ごたえ十分!ピカソが若い頃とその後で、絵の質が変容していったように、マグリットもまた、若い頃の作品は、あまり、私が知っているマグリットらしくない。その変容も知ることができ、マグリットの世界に浸ることができました。ちょっと「ダリ」に通じるような絵もあったし、「なるほど、この絵があって、その○年後に、この絵ができたのか!」というような発見もありました。お薦めです。
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(2015、8、20読了)
2015年9月17日 16:42
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新・読書日記
2015_124
『ルーヴル美術館展図録』(京都市美術館:2015、6、16~9、27)
お盆休みの土曜日に、京都に行って観て来ました。ありがたいことに京都の美術館・博物館までは近いので、つい「いつでも行ける」と思っているうちに、会期が終ってしまうこともしばしば。でも「ルーヴル展」は、やはり見ておきたい。今回の目玉はフェルメールの「天文学者」。あの写実的な光を生かした優しい絵画です。フェルメールの絵画で残っているものは、全世界に37点しかないと言われる。そのうちの1つ。思ったより大きな絵でした。もっと小さいかと思ってた。
そのほか、「生活」にスポットを当てた作品を集めた今回の展覧会は、わりと地味な感じでした。お客さんは多かったですが。時代背景などをよく勉強するか、解説のガイド(有料)を聞きながら見て回ったほうが、いいかもしれません。
展覧会に行くと、必ず図録を買います。2000数百円は高いし持って帰るのは重いけど、これだけの本を町の本屋さんで買うと、もっと高いと思います、その意味では安いし記念にもなるので。勉強にもなります。
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(2015、8、20読了)
2015年9月17日 10:41
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新・読書日記
2015_123
『八紘一宇~日本全体を突き動かした宗教思想の正体』(島田裕巳、幻冬舎新書:2015、7、30)
自民党の三原じゅん子参議院議員が、2015年3月16日の予算委員会で突如として口にした「八紘一宇」という言葉。国際的な租税回避問題についての質問の中で「世界が一家族のように睦み合う」との意味で用いたというが、そもそもこの言葉は「大東亜戦争」のスローガンとして使われた「過去」がある。
由来は『日本書紀』にあり、神武天皇が奈良・橿原に都を定めた際に「八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)と為(なさ)ん」と語ったことによるという。「八紘」は、中国の思想書「淮南子(えなんじ)」に出て来る言葉で、「地の果て」を意味し、転じて「天下」「全世界」を指す。これを基に、国家主義的宗教団体「国柱会」の創設者・田中智学が造語した。
田中智学とはどんな人物であったか?そのあたりは、第1章に詳しく書いてある。
宮崎市の平和台公園には「八紘一宇」という文字が刻まれた「平和の塔」がある。三原議員が「八紘一宇」を口にした際に、麻生副総理も「宮崎にある平和の塔に刻まれた文字」のことに言及していた。この塔の設計者は「日名子実三(ひなご・じつぞう)」なのだという・・・と、言われても、普通はその名を知らないのではないか?私は20年ほど前のJリーグ発足時に、日本サッカー協会の「八咫烏(やたがらす)のマーク」について調べたことがあり、その際にこの「日名子実三」という名前を目にしたことがあった。(昭和6年に「八咫烏」のマークを作った人として)が、どんな人であるか詳しくは知らなかった。「八紘一宇の塔」と繋がりがあったとは・・・。「八咫烏」「八紘一宇」、共に「八」が付くな。
しかし「無謀な戦争のスローガン」だった「八紘一宇」の文字が見逃されるはずはなく、1946年GHQは、軍国主義の象徴だとしてこの文字を削るよう命じた。ところが、なぜか、20年も経たない1965年に「八紘一宇」の文字が復元されている。
「世界が一家のように仲睦まじく」と願うことに問題はない。問題は「その手段」であり、「過去の失敗の歴史から何を学んでいるか」なのである。「平和のためなら戦争も辞さない」構えでは、「本当の平和は確立できない」のである。
本書では、田中智学の日蓮主義と国体論、日蓮宗を通じての田中智学と宮沢賢治との関係、石原莞爾、北一輝といった人の名前も出て来る。実に「そうだったのか!」と思わされる一冊である。
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(2015、8、31読了)
2015年9月16日 22:40
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新・読書日記
2015_120
『さらばスペインの日々』(逢坂剛、講談社:2013、11、21)
遅い夏休みを取った先週、「夏休中に、絶対読み切る!」と目標を立て、この600ページを超える本を読み切った。既に第二次大戦の決着が付いた後の話なのに、それでもハラハラドキドキできるのは、逢坂剛さんの「腕」によるのだろう。そして、ここまで読み継いできたことにも、よるのだろう。
本書で「完結」となった「イベリア・シリーズ」は、1997年9月6日号の『週刊現代』での連載で始まった。それは、逢坂さんが31年3か月務めた博報堂を退社した2か月後からで、本書の完結までは、400字詰原稿用紙で「8000枚」になるんだそうだ。書いた人はもちろん大変だが、読んだ読者も大変だ!そのあたりについて、「あとがき」で逢坂さんも書いている。
「長い間隔を置いて断続的に刊行され本シリーズをずっと読み継いでくださった読者諸氏の温かいご支援のたまものである」
こんなことを書いてくれる著者・シリーズは、あんまり、ありませんよ。
「イベリア・シリーズ」は、その前段に1991年の『斜影はるかな国』があり、またこのシリーズに重なるように1998年に単行本が出た続編『燃える地の果てに』がある。そして「イベリア・シリーズ」7冊は以下の通り。装丁の堀越千秋画伯の絵にも魅せられた。
① イベリアの雷鳴
② 遠ざかる祖国
③ 燃えさかる蜃気楼
④ 暗い国境線
⑤ 鎖された海峡
⑥ 暗殺者の森
⑦ さらばスペインの森
本棚で単行本確認したら・・・あ!『暗殺者の森』が無い!でも絶対、読んでると思うんだけど。そうでないと最終巻の話につながらないし。・・・どこへ行ったのかな。捜しておきます。
と、「読んだ」のなら「書いているはず」だと「読書日記」を捜してみたら、
「2014読書日記009&010『暗殺者の森(上)(下)』(逢坂剛、講談社文庫:2013、9、13)
とありました。なんと「文庫本」で買って読んだのか!これは、単行本も手に入れておかなければ!
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(2015、9、11読了)
2015年9月16日 20:07
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新・読書日記
2015_122
『21世紀の自由論~「優しいリアリズム」の時代へ』(佐々木俊尚、NHK出版新書:2015、6、10)
佐々木さんとは面識はないが、同い年なので勝手に親近感を覚え、本は大体、読むようにしている。いつも大変、勉強になる。ちょっと難しいけど。
今回は「日本でいま何が起きているのか」から始まり、「リベラル」と「保守」という対立構造が、昔とは変わってしまったと。今は、「リベラル」が「保守化」しているのだという。つまり「リベラル」の支え手であった「団塊の世代」が「高齢者」になったことを意味するのだと思う。そして「日本のリベラル」とは「一国平和主義」だと喝破。また、「一つの民族が一つの国家」という「国民国家」は、ヨーロッパが造り上げた「理念」であり、「多文化主義」を推し進めることによって移民・難民が増加し、結局「多文化主義」は崩壊。多民族による「国民国家」をも否定することになり、それはすなわち「ヨーロッパの理念の否定」につながっていくという。
ここ数年、私もようやく気付いた「『自由』と『平等』は正反対の概念」であるということにも触れ、人類は「豊かでない自由」と「自由のない豊かさ」のどちらを選択するのか?「平等でない自由」と「自由のない平等」のどちらを選択するのか?という局面に立たされているが、これは様々なトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たずの状態)に置かれていると。そうなると、結局は「バランス」なんだよね。最もよいバランスを、どこに置くかということになると思うんだなあ。
難しいけど、頭の刺激になる一冊です。ページの端を、いっぱい折っちゃった。
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(2015、8、6読了)
2015年9月16日 19:38
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新・読書日記
2015_121
『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』(片田珠美、朝日新書:2015、9、30)
最近、ものすごいペースで新書を出している片田さんの最新刊。買ったけどまだ読みかけの片田さんの新書が2冊あるのに、こちらを先に読み終えてしまいました。
タイトルのような人、いるんですよ。本書の中では、例えば「STAP細胞」の小保方さんなんかが、その例として挙がっていますが、「自分は真実を話している」と自ら信じ込んだ人は、「ウソをついている」という自覚がないから、始末に悪いです。
片田さんは、通っていたスポーツクラブで「私は医師」と言っていた女が、実は全く「医師ではない」という出来事に相当ショックを受けて(というのも、この話はほかの本にも書いているエピソードだから)、本書を書こうと思ったのではないか。そして「小保方さん」が出てきたことで、「世の中には、こんな人がほかにもたくさんいて、その対処に困っている人が、たくさんいるのではないか?」と思って、それが執筆動機ではないかなと思いました。
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(2015、9、13読了)
2015年9月16日 17:44
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新・読書日記
2015_119
『下流老人~一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典、朝日新書:2015、6、30第1刷・2015、8、10第5刷)
2か月で5刷、という事はかなり売れている。誰が買うのだろうか?「下流老人」は買えないだろうから、「下流老人」の恐れを感じる人が買うのか?
著者は1982年生まれのNPO法人の代表理事。若者である。サブタイトルは「一億総老後崩壊の衝撃」。
「一億総○○」と聞いて思い浮かぶのは「一億総中流」。30年ほど前は、ほぼそんな状態だった。おそらく1985年の「プラザ合意」あたりから、それが崩れて来たのではないか。「グローバル化」という名前の「アメリカン・スタンダード」が広がり、2000年初頭の小泉政権でそれがさらに加速し、揺り戻しの民主党政権の無能さが更にその後の自民党・安倍政権に勢いをつけた。「中流」が崩れたことによって、「下層老人」が大量に発生することになった。
本書における「下流老人」とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と規定している。具体的な指標は「3つのない」。すなわち、
(1)収入が著しく少「ない」
(2)十分な貯蓄が「ない」
(3)頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)
そして、第2章で紹介される「下流老人の現実」は、先日書いた「2015読書日記117」の『老人に冷たい国・日本「貧困と社会的孤立」の現実』(河合克義、光文社新書:2015、7、20)と全く同じである。そして、もともと「下流老人」は「最初から下流であった訳ではないのだ」という現実が、「誰でもが下層老人に陥る危険性をはらんでいる」ことを想像させる。
著者は「下流老人の問題点」として、以下の4つの悪影響を挙げている。
(1)親世代と子ども世代が共倒れする
(2)価値観の崩壊
(3)若者世代の消費の低迷
(4)少子化を加速させる
既に、これらの悪影響は出ている。若者は、未来のためにお金を使うのではなく「貯蓄しよう」とする傾向が強いが、その若者層や子どもの貧困が、現実のものとなっている。
OECDの「対日審査報告書」(2012年版)によると、日本の「相対的貧困率」は、過去最悪を記録。OECD加盟34か国のうち6番目に高い数値で、子どもの貧困率も、なんと16,3%にも上るという。
著者は、「下流老人」を減らすためには「生活保護制度を使いやすくする」ことを提案している。現在の「救貧制度」としての「生活保護」ではなく、「防貧」的視点を取り入れてはどうかと。中でも「住宅費」の占める割合が想像以上に大きいので、民間借家への家賃補助など「衣食住」の「住」を支える案を提案している。一考の価値はあるだろう。
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(2015、9、3読了)
2015年9月16日 11:03
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新・読書日記
2015_118
『声を変えるだけで仕事がうまくいく』(秋竹朋子、マイナビ新書:2015、8、31)
「ボイストレーナー」という仕事があります。文字通り「ボイストレーニング」をやるんですね。そして、このタイトルにあるように、「声を変えるだけで仕事がうまくいく」というのは、ある一面では真実でしょう。もちろん、声を良く変えただけで、仕事が全てうまくいくわけではありませんが、「前向き」になるのは確かだと思います。こういうことを教えている人は、どういう教え方をしているのかな?というところに興味があって読みました。まあ、こんな感じか。そんなに「ものすごく参考になる」ということは、ありませんでした。
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(2015、9、8読了)
2015年9月15日 17:40
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新・読書日記
2015_117
『老人に冷たい国・日本「貧困と社会的孤立」の現実』(河合克義、光文社新書:2015、7、20)
「貧困」が日本でも広がっている。日本は先進国なので貧困などないと思っている人が多いが、ここ15年ほどで急速に「貧困」が広がっているのが現実だ。それは「超高齢化」とも歩調を合わせている。「貧困」は「孤立」を生み出し、その結果「孤立死」が生じる。
貧困と孤立は、最も弱い層を襲う。著者は明治学院大学の副学長で、実際に孤独な貧困老人の生活の実態を調べることで、その原因を探って来た。結論は「政策が、貧困と孤立を作り出す」。高齢者政策の中で大きな影響を与えているのは「介護保険制度」。2000年の導入以降、生活保障制度を大きく変え、高齢者に多くの負担を強いるようになった。実は「介護保険制度」を利用している高齢者は、たったの15%なのだ。そして貧困と孤立の問題は、残りの85%の中で発生しているというのだ。
「おわりに」から引用する。
「先進国の中で、日本ほど『老人に冷たい国』はない、とつくづく思う。我が国で高齢者の貧困と孤問題がこれほど深刻なのは、個人責任の範疇を越えた社会的背景を持つ。(中略)不安定な仕事をしてきた人の高齢期の貧困と社会的孤立、しかし生活態度は控えめで、困難な状況にあって助けてと言わない人、そうした人を無視した政策の展開が、孤立死・餓死を生み出してきた。」
そして「老人福祉法の理念」の一節を引き写した後、こう、本書を締める。
「高齢者を敬愛し、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障するために、いまある貧困と社会的孤立の問題を解決しなければならない。『老人に冷たい国・日本』を変えるために。」
我々「中年」も、「若者」も「子どもたち」も、いずれ行く道なのだから。
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(2015、8、20読了)
2015年9月15日 12:39
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新・読書日記
2015_116
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子、朝日出版社:2009、7、30第1刷・2009、10、20第9刷)
この本も、何年か前に読みかけて中断してほったらかしになっていたものを、「『戦後70年』の今年こそは!」と一気に頑張って読みました。だんだん引き込まれていきました。
実はこれ、優秀な中学生1年から高校2年生までに対する、東大教授が行った講義の様子を収めたものなのだが、物凄くレベルが高く、オジサンも、ついて行くのがやっとだった。スゲーな、この中学・高校生!横浜・栄光学園って!
もう、本に赤線を引ききまくりで、それを全部書き写していたら、それだけで本一冊分になるので、もう省略!感想一言。
「とっても勉強になるので、この感想を読んだ人は、必ず読むべきだと思います。」
心して読むべし!
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(2015、8、18読了)
2015年9月 1日 18:15
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2015_115
『本当は戦争の歌だった 童謡の謎』(合田道人、祥伝社黄金文庫:2015、7、30)
この著者の「童謡」に関する本は、過去に読んだことがあるけど、今回は「童謡」でも「戦争」に関わる・まつわるものが数多くあるということを教えてくれる一冊。知っているものもあったが、「そうだったのか!」というものもあった。紹介されている曲は、
「ウミ」「かもめの水平さん」「我は海の子」「汽車ポッポ」「里の秋」「めんこい仔馬」「かあさんの歌」
そして、戦争に翻弄された童謡は、
「桃太郎」「青い目の人形」「ぞうさん」「冬の夜」「戦友」
さらに「本当は敵国の歌だった童謡」は、
「故郷の空」「蛍の光」「森の水車」
これは知ってた。さらに、「復興の力になった童謡」は、
「花の街」「惜別の唄」「さとうきび畑」「もずが枯木で」
というあたりは、また「そうだったのか」と勉強になりました。
「歌」の持つ力、これはやはりスゴイんだと再確認!
(2015、8、15読了)
2015年9月 1日 12:13
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