新・ことば事情
5850「武藤と元」
8月20日の「ミヤネ屋」で、前の日に自民党を離党した、
「武藤貴也 衆院議員」
のニュースを取り上げました。本番前にスーパーのチェックをしていたら、こんなものが。
「武藤貴也 元自民党衆院議員」
武藤議員は、自民党は離党したのでたしかに、
「元自民党」
というのは正しいのですが、「議員」はまだ辞めていませんから、その後に「衆院議員」が付いてしまうと、「衆院議員」まで「元」のように見えてしまう恐れがあるので、これはよくありません。
○「武藤貴也 衆院議員」
と直しました。その説明を口頭でしていたら、ややこしい問題が。
「元議員じゃないよ、武藤議員だよ!」
この「元」と「武藤」が、聞き取りにくいんですよね。
・「元」 =「MOTO」
・「武藤」=「MUTOU」
ということで、実際にしゃべってみるとわかりますが、似ています。「O」と「U」の母音は、近いんですね。
ハッキリと発音して、何なら文字で書いて示すようにしないと、間違われてしまう恐れが。
同じようなものには、
「名前や名字の最後が『元』という漢字」
の人にも起こって、例えば、プロ野球の東北楽天イーグルス監督の「デーブ」こと、
「大久保博元」
さんの場合、
「大久保博元監督」
とフルネームで書くと、
「大久保博元・監督」
が正しいのですが、
「大久保博・元監督」
だと思われる恐れがあります。例えば「西前」さんという名字の方が校長先生だとしたら、「西前校長」と書くと、
「西・前校長」
だと誤解されるかもしれません。
こういった「文字」あるいは「発音」で混同されやすい名前の場合は、注意が必要ですよね。