新・ことば事情
5848「LINE」
大阪・高槻市で中1(13歳)の少女・平田奈津美さんの遺体が遺棄された事件で、平田さんの「LINE」の通話履歴が出て来ています。その「LINE」を、新聞各紙がどう表現・説明しているか、8月20日(読売は20日の紙面になかったので18日)の朝刊で比べてみました。
(読売)無料通話アプリ「LINE(ライン)」
(朝日)携帯電話の無料通信「LINE」※横ルビで(ライン)
(毎日)無料アプリ「LINE(ライン)」
(産経)スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」
(日経)無料通信アプリLINE(ライン)
全部同じように見えて、微妙な違いがありますね。
まず「無料」ということは全社書いていますが、「通信アプリ」としているのが「朝日・産経・日経」、「毎日」は「無料アプリ」で「無料」の「何のアプリか」はわかりません。「読売」は「通話」としていますが、今回の「LINE」は、
「文字や絵によって、漫画の吹き出しの会話のようにコミュニケーションを取る」
ものなので、音声による「通話」ではないでしょう。この場合「通信」のほうが適当に思われます。(「LINE」の無料通話もありますが、今回は音声ではなく文字でのやり取りです。)
また、商品名ですからそれを強調するために各社「カギカッコ」で「LINE」をくくっていますが、「日経」だけは、くくっていません。これは恐らく「LINE」はアルファベットなので、漢字や平仮名による「地の文」と区別できるからと考えたからではないかと思われます。
あと「ライン」というルビは、「朝日」だけが「横ルビ」で、他社は(丸カッコ)でくくった「後ルビ」です。
そして、「朝日」は「携帯電話」の無料通信アプリとしているのに対して、産経は「スマートフォン」の無料通信アプリとしています。これは「スマートフォン」のほうがより正確ですが、何しろ文字数が「スマートフォン」は7文字、「携帯電話」は4文字ですから、そのあたりの事情があるのでしょう。
なお、放送では、NHKの8月21日のニュースでは、
「無料通話アプリで」
と、「LINE」という言葉を使わずに報道していました。
※これを書いた翌日の21日夜、山田浩二容疑者(45)が逮捕・送検されました。また、星野凌斗くん(12)の遺体も、大阪・柏原市内の竹林から見つかりました。合掌。