新・ことば事情
5844「隣接する」
先週、大阪府高槻市で、8歳~15歳と見られる女性の遺体が見つかった事件で、被害者の女性は、行方不明になっていた大阪府寝屋川市の中学1年生(13)だとわかりました。
8月18日のお昼のニュースで、寝屋川警察署から中継した朝日放送の男性記者は、
「高槻市に隣接する寝屋川市に住む・・・」
と言っていたのですが、この、
「隣接する」
が引っかかりました。近くの「枚方(ひらかた)市」に住んでいる私としては、
「『寝屋川市』が『高槻市』と『隣接している』という感覚はない」
のです。なにせ、「高槻市」と「寝屋川市」は「淀川」によって隔てられており、「高槻市」は「北摂」ですが、「寝屋川市」は「北河内」です。
「隣接する」
というのは文字通り、
「隣り合う」
だと思うのですが、「高槻市」と「寝屋川市」が「隣り合っている」というイメージはありません。地図を見ると、たしかに、
「高槻市の南端と、寝屋川市の北の端は、少し接してはいる」
でですが、それも、
「淀川を境界線として」
ですから、地面は、直接は、接していません。
そして、「隣」を「広辞苑」で引くと、
「隣」=「横に相接した位置。またその位置にあるもの」
とあります。ほらね!「横」というのは、地図で言うと、
「東西」
ですよね。でも「高槻市」と「寝屋川市」は「南北」には接しているが、「東西」には接していない!つまり「隣」ではないのです!違和感の正体がハッキリした!
これが、「高槻市」の西隣の「茨木市」とならば、「隣接した」で良いと思うのです。「高槻市」の「淀川を挟んで東側」の「枚方市」でも、何とか許容範囲です。
その後見たNHKのお昼のニュースの中継では、女性記者が、
「高槻市の隣の寝屋川市」
と言っていました。うーん、同じ理由でこれも「隣」ではないと思うなあ。
若い命が無残にも失われ、今も同級生の男の子の行方が分からず、事件は解決していないのですが、その最中でのリポートの表現が見になりました。
ちなみに、遺体発見現場の「高槻市番田」は、枚方大橋を渡って川沿いに西へ向かう道沿いで、「寝屋川市と接する部分」ではありません。