新・ことば事情
5839「きょうだい」
「兄弟」
と書いて、「きょうだい」と読み、女ばかりの場合は、
「姉妹(しまい)」
とするのは、小学校低学年の子どもでも知っています。問題は、
「男と女が交ざっている場合の表記」
です。一般的には「姉妹」以外は全て「きょうだい」と言い、表記も「兄弟」で問題はないはずです。しかし最近は、なんとなく違和感があります。「兄と妹の2人」「姉と弟の2人」の兄弟の場合は、
「兄妹」「姉弟」
と書いて、「読み」は「きょうだい」と読むことも、実際にはあります。
2015年7月、大分の自衛官(広島に単身赴任)が、夫婦げんかの末に自宅に放火した事件では、「8人兄弟」のうち、3人が亡くなったのですが、
「残された兄妹(きょうだい)」
という表記が出て来ました。
しかし、問題は「兄と妹」「姉と弟」だけならばいいのですが、子どもの数が、
「3人以上で、男女混合の場合」
の表記です。これまでどおり「兄弟」という表記でひっくるめて済ましてしまうのか、それとも、漢字にこだわらず、
「平仮名で『きょうだい』と書く」
のか。
『AERA』2015年8月17日号(最新号)の表紙に書かれている特集のタイトルは、
「きょうだいは リスクか資産か」
というもので、「きょうだい」が「平仮名」で書かれていたのですが、このあたりに配慮した表記なのでしょう。
関連で、お母さんが多くても、以前は何の違和感もなく
「父兄会」
と言っていたのが、
「『父兄』というのは『男尊女卑』的だ。」
ということで、最近(と言っても、ここ20年ぐらい)は、
「保護者会」
となったのも、少し、社会の雰囲気としては関連があるかもしれません。