新・ことば事情
5833「恋は盲目」
先日、
「恋は盲目」
という表現が出て来ました。比較的よく見る・聞く表現です。
しかしこの言葉は(放送で使ってはいけないわけではないのですが)、使用に際しては注意が必要な言葉です。なぜならば、「"盲"を含む語」に関しては、
「"盲"の字には侮辱の意味が含まれることがある」
からです。具体的には、
*「使用できる語」=盲腸、盲目、盲点、盲人
*「できるだけ使わない言葉」=色盲、文盲(もんもう)、盲愛、盲信、盲従、盲目的
といったところです。その基準で言うと「盲目」は使えるのですが、
「比喩的に『盲』を使うもの」
が、あまり余り好ましく思われないようです。「恋は盲目」の意味は、
「恋をすると盲人のように、その人のことしか見えなくなってしまうこと」
なので、その意味では「盲目的」と同じともいえるので「微妙かなあ」と感じました。
というのも、私も、小さい時から目が悪く、「見えない」ということに関しては、目がいい人よりは気になるほうですが、「ことわざ」や「熟語・成句」となると、元の言葉に含まれている意味までは、なかなか配慮が届かないことがあります。
一応、担当部署に相談したところ、
「侮蔑的な使い方でなく、人口に膾炙(かいしゃ)した言葉なのでOK」
という判断でしたので、そのまま放送しました。