新・ことば事情
5821「『農作物』の読み方」
7月19日、静岡県西伊豆町で、シカなどの動物よけの「電気柵」で感電して、2人が死亡し、5人が重軽傷を負うという痛ましい事故がありました。
その翌日、地元・静岡第一テレビ(日本テレビ・読売テレビ系)のアナウンサーが、
「シカなどの野生動物から、農作物を守るための電気柵」
というような説明をしている中で、この「農作物」を、
「ノーサクモツ」
と何度も繰り返ししゃべっていました。しかし、これは「間違い」ですね。正しくは、
「ノーサクブツ」
なのです。
単体で「作物」の場合は「サクモツ」ですが、「農作物」は「ノーサクブツ」。
なぜなら、意味上の分かれ目は
×「農・作物」→○「農作・物」
だからです。
日本新聞協会が出している『新聞用語集2007年版』の「放送で標準とする読み方例」の409ページにも、そういった「注意書き」が載っています。
アナウンス部や「ミヤネ屋」のスタッフにも「注意喚起のメール」をしたのですが、その後に見た「テレビ朝日系列」の静岡の局の記者(静岡朝日放送かな?)も、
「ノーサクモツ」
と言っていたので、この誤用は、かなり広がっているようですね。
ちなみに、「電気柵」の業界団体である、
「日本電気さく協議会」
の方に、きょう(7月20日)の「ミヤネ屋」に電話出演してもらいましたが、この団体の名前の中にある、
「さく」
は「平仮名表記」でした。「柵」という漢字が「常用漢字」になったのは、
「2010年11月」
なので、それ以前に設立されて定着していたので、「さく」は「平仮名のまま」なんでしょうね。