新・読書日記 2015_099
『憲法とは何か』(長谷部恭男、岩波新書:2006、4、20第1刷・2006、5、15第2刷)
安保法制の審議で、自民党の参考人として呼ばれた3人の憲法学者の一人・早稲田大学の長谷部恭男教授の著書。
「安保法制は、明らかに違憲である」
との発言であったが、法律を成立させようとしている自民党が呼んだのだから、当然「法案は合憲」と言うのだと思っていたら、意外にも「違憲」と。
そもそも、長谷部教授の日頃ろからの主張は?それを知るために、8年前に出たこの本を買って来て読んだ。(当時は東大教授)
読んでわかったことは、
「長谷部教授は、最初から護憲派」
だということ。「憲法」は「原理」(principal)であり、めったなことで変えるものではないと。日常変えられる「準則」(rule)とは違うのだと。特に「日本国憲法」のキモは「第9条」なんだから、それを変えるのはおかしいし、改正のハードル(基準)を、憲法を変えやすいように、「3分の2以上」から単純多数決の「過半数」に変更しようとするのもおかしいと、はっきり書いている。また、
「戦争とは、相手国の憲法を書き換えることである」
とも言っている。となると「日本国憲法」を書き換えようとする安倍首相らは、「戦後日本」に「戦争」を仕掛けて来ているわけか?
「戦後レジームを変える」
と言っているのだから、確かに、
「武器を使用しない内戦状態」
なのかもしれない。
それにしても、自民党はなぜ、長谷部教授を参考人として呼んだのか?どう考えても、自民党寄りのコメントをするとは思えない人である。もしかして、著書の一冊も読まずに呼んだのだろうか?と、疑問を持たざるを得ない。(もしかしたら、8年前はこういう立場だったが、その後、立場・主張を変えていたのか?ないと思うが)
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