新・ことば事情
5816「小早川家の秋」
小津安二郎監督の1961年作品、
『小早川家の秋』
をDVDで見ました。カラー作品だったんですね、これ。森繁久弥さんや加東大介さんが冒頭出て来て、舞台も大阪だというのも知りませんでした。てっきり、東京が舞台かと。原節子さん、たしかに外国人風の造りはっきりした顔立ちですね。目や鼻が大きい。中原淳一の描く美人のような。新珠三千代さんや白川由美さん、きれいで元気いっぱいですね!
また、小津監督の構図はたしかに、カメラの位置が極端に低い。まるで、
「ネコの目線」
です。また、いろいろセリフを聞いていたら、京都の地名、
「嵐山」
のアクセントは、
「ア/ラシ\ヤマ」
と「中高アクセント」でした。また、
「連れ子」
という言葉、濁らずに、
「ツレコ」
でした。そして、病院(平山医院)に電話をかける際は、交換台を通してかけていましたが、その、
「30の1051」
という電話番号の読み方は、
「サンレイノ イチレイゴーイチ」
と「0」は「レイ」と言っていました。
また、「蚊取り線香」は「水平に横」にではなく、
「垂直に縦」
に置いていました。心筋梗塞になった父親のために、氷を砕いて、
「氷嚢(ひょうのう)作り」
をしていましたし、親類には父の病状に関して、
「電報は打ちましたけど」
と。もちろん、メールはないですからね、「電報」です。
そして、森繁久弥はデートをすっぽかされて、
「き(来)やへんよ、きみ」
と。「こやへん」ではなく「きやへん」でした。
中でも一番びっくりしたのは、タイトルの、
「小早川家」
の「小早川」の読み方です。
「こばやかわ」
だと思っていたのですが、これは正しくは、
「こはやがわ」
なんですね!映画の中でもそうしゃべっているし、タイトルのルビも、そのようになっていました。ビックリしました。
そう思っていたら、その後に読んだ『もっと声に出して笑える日本語』(立川談四楼、光文社知恵の森文庫)に、おんなじことが書いてありました!これもビックリ!