新・ことば事情
5809「線路内か?線路上か?」
7月9日の「ミヤネ屋」の「250」ニュースで、73歳の男が運転する自動車が、阪急・京都線の線路の軌道内に入って1,3キロにわたって走行するという事件がありました。幸い、けが人などはなかったのですが、一つ間違うと大惨事になっていました。その際の表現として、自動車が、
「線路内」
を走行したのでしょうか?それとも、
「線路上」
を走行したのでしょうか?
「250」ニュースの原稿では、
「線路上を走行」
になっていましたが、それをまとめてスタジオのマルチ画面に出す文字は、
「線路内を走行」
にしました。
「線路」
というものが指す範囲は、「広義と狭議」で変わって来ると思います。
*(狭義)=「2本のレール」
*(広義)=「レールを含む電車が通行する、他の車や人が立ち入ってはいけない敷地(軌道)内」
ということですね。
ですから、今回は「広義」でいいんじゃないかなあと思いました。
7月9日の各紙夕刊を見てみたら、
(読売)「線路内に侵入し約1、3キロ走行した」
(朝日)「線路上を走る乗用車」「線路に進入」=2回
(毎日)「線路上を乗用車が走行」「線路を車が暴走した事件」「線路に入り」
(産経)「線路内を車が走行」=2回、「線路上」=1回、「軌道内」=1回
(日経)「線路上に乗用車が進入」「線路上を乗用車で走行した疑い」
ということで、シンプルにまとめると、
(読売)「線路内」
(朝日)「線路上」
(毎日)「線路上」「線路」
(産経)「線路内」=2回、「線路上」=1回、「軌道内」=1回
(日経)「線路上」
ということですね。産経新聞は「線路内」と「線路上」と「軌道内」を、どう区別しているのでしょうか?「同じ意味だけど、同じ表現は使いたくない」ということなんでしょうか?毎日新聞は「走る」のは「線路上」で、車が入ったのは「線路」ということで、この「線路」は「軌道内」という意味のようですね。
ああ、ややこしい!
ちなみに7月10日の日本テレビ「スッキリ!!」では、
*「線路内に入った」
*「線路に侵入(進入)」
*「線路上を走行」
と3種類の表現が出て来ました。もしかしたら、
*「侵入(進入)」=線路内、線路
*「走行」=線路上
と使い分けているのかもしれません。また、「しんにゅう」に関しては、
*「侵入」=読売
*「進入」=朝日・日経
でした。