新・ことば事情
5802「シアン化合物と青酸化合物2」
「平成ことば事情5797」で書いた「シアン化合物と青酸化合物」の続きです。
週末、テニス教室に行って休憩時間にスポーツドリンクを飲んでいました。その際に、見るとはなしに「スポーツドリンクのボトル」(2リットル)を眺めていたら、ある文字が目に留まりました。
「※ミネラル、燃焼系カルニチン、ゼロカロリー」
その「※ミネラル」の注意書きに、
「※ミネラルとはナトリウム・カリウムのことです。」
と書かれていたのです。それを見て、「あ、そうか!」と思ったことがあります。
黒川博行さんの『後妻業』という小説にそっくりの事件で再々逮捕された筧千佐子容疑者。一連の事件で使われのが、
「青酸カリ」「青酸化合物」
です。この事件を報じる際に、読売テレビでは「青酸化合物」「青酸カリ」と言っているのですが、中には、
「シアン化カリウム」あるいは「シアン化合物」
という言い方をしている放送局もあります。その局の用語委員の方に聞いてみたところ、
「起訴状に『シアン化合物』と記載されているため、それに関する部分については『シアン化合物』を、その事実にまで至っていない部分については『青酸化合物』という表現で区別している」
という返事を頂きました。「起訴状」の表現をそのまま使っていると。でも「シアン化合物」と「青酸化合物」は「同じもの」ですよねえ。
こういった場合に、どちらを使うべきなのか?いや、殺人に使っちゃだめですよ、もちろん!「呼び名」の問題です。スポーツドリンクのボトルに書かれた、
「ミネラルとはナトリウム・カリウムのことです。」
を読んで、
「シアン化カリウム、いわゆる青酸カリ」
という表現が妥当なのかなあという気がしたのでした。