新・ことば事情
5797「シアン化合物と青酸化合物」
昨年12月、筧千佐子容疑者が逮捕された際、容疑の中で、
「青酸化合物を飲ませて殺害した」
というくだりで、この毒物の名前を、
「青酸化合物」
としたメディアと、
「シアン化合物」
としたメディアがありました。どちらも「同じ物」だとは思うのですが。
私のチェックでは、
【青酸化合物】=読売テレビ(日本テレビ)、NHK、関西テレビ、毎日放送(TBS)、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、京都新聞、神戸新聞、東京新聞
【シアン化合物】=朝日放送(テレビ朝日)
でした。
唯一、「シアン化合物」とした朝日放送の知り合いに「理由」を聞いたところ、
「今回の事件で『シアン』と『青酸』が分かれているのは、起訴状に『シアン化合物』と記載されているため、起訴容疑に関する部分については『シアン化合物』を、その事実にまで至っていない部分(ベランダから見つかった物や、別の男性から検出された物と、京都の男性に使われたものが同一かどうかは確認されていない)については『青酸化合物』という表現で区別している。少なくとも、12月10日に起訴されてからは、上記のように、あえて区別している。」
ということだそうです。
うーん、たしかに、
「同一人物が使った、同じ毒物どうか」
というのは、関連の事件に関しては重要なことで、それは、あの「和歌山毒カレー事件」で使われた「ヒ素」でも問題になったことでした。しかし「青酸化合物」と「シアン化合物」は同じだと思うので、それを使い分けて視聴者に伝わるのか?というあたりは、ちょっと私は疑問です。
でも、ちゃんと意図を持って使っているということでした。
(半年前に書きかけて、そのままになっていました。)