新・ことば事情
5796「医薬品医療機器法」
7月5日の読売新聞の社会面に、
「ぜんそく薬 転売120年分」
という大きな見出しが。そのリード部分を読んでみると、
「ぜんそく用の処方薬を無許可で販売したとして、堺市堺区の無職男が医薬品医療機器法(旧薬事法)違反容疑で大阪府警に逮捕された事件では、男は2年弱の間に通常の130年分の薬を入手し、少なくとも120年分を医薬品販売会社に転売していたという」
とありました。この中の、
「医薬品医療機器法(旧薬事法)」
に目が留まりました。私たちが聞き慣れた、
「薬事法」
が、昨年11月に名称が変わったのです。これに関しては、昨年末の新聞用語懇談会放送分科会で議題に上りました。(私が出したのですが。)それをここに載せると、
『「薬事法の名称変更について」
11月25日に「薬事法」が改正されて名称が変わりました。新しい名称は、
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
この法律の医薬界での略称は、
「薬機法」
だそうですが、放送でどうしますか?「危険ドラッグ」関係などで、今後しばしば出て来そうです。
「改正薬事法」
とするとわかりやすいですが、「薬事法」はこれまでにも、ちょくちょく改正されているので「どの改正か、分からない」上に、今回の改正は名称も変わるぐらい大きなものなので、やはり「新しい名前」が必要かと思います。各社はどのように定めているでしょうか?』
というもので、これに関して、NHKと共同通信の委員から回答がありました。
*(NHK)おととい(2014年12月3日)、社会部で「医薬品医療機器法」に統一した。原稿などでは「薬事法、現在の医薬品医療機器法」という言い方も。
*(共同通信)役所(厚労省)がそう言っているので、社会部で「医薬品医療機器法」としたが、見出しは「医薬品法(旧・薬事法)」。
ということでしたが、読売新聞も、同じ名称にしていたんですね。実際にこの法律名が報道で出て来たのを、初めて見ました!
そして、けさ(7月7日)の読売新聞・朝刊社会面では、「(旧薬事法)」を付けないで、
「医薬品医療機器法」
で出て来ました。
(追記)
平成ことば事情5619「薬事法の名称変更」も、お読みください。
(2015、7、28)
(追記2)
その後、
「薬機法」(やくきほう)
という略称で定着したようです。
(2023、4、19)