新・ことば事情
5794「ドーパミンか?ドパミンか?」
7月1日の「ミヤネ屋」で、俳優の高知東生さん(50)が、奥さんの女優高島礼子さん(50)のお父さんの介護のため、俳優業から引退するという芸能ニュースを取り上げました。高島さんのお父さんは「パーキンソン病」なんだそうです。その病状を紹介する際に出て来た、
「dopamine」
のカタカナ表記が、
「ドパミン」
となっていました。私の記憶では、これは、
「ドーパミン」
と伸ばします。そこで確認にために辞書を引いたら、『広辞苑』『デジタル大辞泉』『精選版日本国語大辞典』は、
「ドーパミン」
しか載っていませんでしたので、「ドーパミン」としました。
しかし担当のTディレクターから、
「パーキンソン関係のお医者さんのサイトを見ると、『ドパミン』と、伸ばしていないんですが、どうしましょうか?」
と聞かれました。
「そうか、もしかしたら、専門家の間では『ドパミン』と伸ばさないのかもしれないね。また『インシュリン』が『インスリン』に、『カロチン』が『カロテン』になったように、今後、名称変更が検討されるかもしれないね。でも、今は一般的には『ドーパミン』と伸ばすし、国語辞典にもそれしか載っていないので、『ドーパミン』でいこう」
ということにしました。
放送が終わってからネット検索をしてみたら、2010年の4月22日の「ヤフー知恵袋」に、
「『ドパミン』と『ドーパミン』って何が違うんですか?? 」
とあり、「ベストアンサー」(回答数は1ですが)は、
「同じ物質です。英語表記ではDopamine。これを発音するときに『ドパミン』と言っているか『ドーパミン』と言っているかの違いです。『ビニールハウス』と『ビニルハウス』の違いのようなものです。なお、医療分野では『ドパミン』って言い方してる方が多いです。」
というものでした。ほかのネットのサイトでは、
「ドーパミン」=脳科学辞典、ウィキペディア
「ドパミン」=化学物質辞書
となっていて、「ウィキペディア」の説明の中に、
「医学・医療分野では日本語表記を『ドパミン』としている」
と書かれていて、脚注に出店として、
「日本神経学会用語委員会編『神経学用語集 改訂第3版』文光堂、2008年、p.42」
が挙げられていました。
グーグル検索では(7月2日)
「ドーパミン」=53万5000件
「ドパミン」 =21万2000件
でした。