新・ことば事情
5789「『ラマダン』のアクセント」
これは、以前にもう何回も書いてあるとばかり思っていたのですが、検索しても出て来なかったので、書きます。
「ミヤネ屋」で、過激派組織「イスラム国」の特集をする際に、このところフランス・チュニジア・クウェート・ソマリアで起き、死者100人以上が出ている同時多発テロについて、その原因の一つに、
「ラマダン」
があると。「断食月」ですね。昔は「ラマダン」の期間中は、1か月何も食べないのかと思っていましたがそれは間違いで、ラマダンの期間中は、
「日中は飲食をしない」
ということで、夜にはまとめて食べているそうですね。
6月28日付・日経新聞の押野真也・カイロ特派員の記事によると、
「一般的にラマダンの期間は信仰心が高まり、ISはこの期間を狙って欧米の非イスラム教徒へのテロを呼びかけている」
とありました。
この「ラマダン」を読むときのアクセントに関して質問を受けました。
「『ラ\マダン』でしょうか?『ラ/マダン』でしょうか?」
これについて私は、
「昔は『ラ\マダン』と『頭高アクセント』が多かったけど、最近は『ラ/マダン』と『平板アクセント』が多いですね」
と答えました。
『NHK日本語発音アクセント辞典』には「ラマダン」は載っていなかったので、『新明解国語辞典』を引くと、
「ラマダン」(1)(0)
とありました。( )で書いたけど、これは○で囲まれています。この数字は、
「アクセントの山が、何音目までか」
を示しています。つまり、(1)ならば「頭高アクセント」、(0)は「平板アクセント」です。その両方を認めているということですね。
さらに、どこかで話し合ったことがあると思ったので、探してみると、今から14年前の「2001年9月」に行われた「新聞用語懇談会放送分科会」で、まさに、
「ラマダンのアクセント」
について議題に上がっていました。それによると、
『*「ラマダン」のアクセント
「タリバン」や「ウサマ・ビン・ラディン」なども数種類の発音、表記があるが、なかなかどれが一番正しいとは言えない状態。「ラマダン」は「頭高」でも「平板」でも良い。しょせん、外国語を日本語で発音・表記することには限界がある?(アクセントとは関係ありませんが。)』
とありました。つまり、14年経っても状況はあまり変わっていないということですね。
今年度中(つまり2016年3月)までに出るという、新しいNHKのアクセント辞典には、「ラマダン」は載っているのかな?