新・ことば事情
5787「『天狗』の鼻は高い?長い?」
「ミヤネ屋」のADのU君が、
「あした放送のスーパーの発注です。チェックをお願いします」
と言って、発注用紙を持って来ました。見てみると、
「鼻を長~くした人たちをご紹介します」
と書かれていました。これを見て、「?」と思いました。
「『鼻を長くした人たち』って?」
「あ、あしたは、『天狗』になった人たちの特集なんです」
ああ、そういうことか。
「天狗なら、鼻は『長く』ではなく、『高く』だなあ」
「『高く』ですか」
「そうだね・・・あ、でも『ピノキオ』の鼻は『長く』なったなあ」
「天狗」と「ピノキオ」の違いは何なんでしょうか?
「高い」というのは、顔の面を「地面」として、そこから突起(隆起)したものを、
「垂直方向の距離」
として捉えているということですね。それに対して、「長い」というのは、
「鼻の長さの絶対値を見ている」
ということですね。
「(顔と)水平方向の距離」
として見ていると言ってもいいかもしれませんが。
あ、それと「鼻」の場合は、芥川龍之介の『鼻』に出て来る「禅智内供(ぜんちないぐ)」のような鼻は、
「鼻が長い」
と言いますし、その場合の「鼻」の方向は、
「顔と並行」
ですので、「高い」とは言いませんね、垂れているので。「ゾウの鼻」と同じです。つまり、
「ゾウの鼻が高い」
とは言いません。「ゾウの鼻は長い」です。
「天狗の鼻」がもし、突き出ていなくて垂れていたら「長い」と言うかもしれません。
でもなぜ、「ピノキオの鼻」は「顔から突き出ている」のに、「高い」ではなく「長い」なんだろうか???宿題だな。