新・ことば事情
5785「たま駅長天国へ」
6月22日、和歌山電鉄・貴志川駅のネコの駅長「たま」が死にました。メスで16歳、人間で言うと80歳ぐらいだそうです。
そのニュースを伝えた6月25日の新聞各紙の記事で、
「死んだ」
というのをどう表現しているかを見てみると、
(見出し) (本文)
(読売)たま駅長 天国へ 動物病院で死んだ
(朝日)たま駅長 天国へ 急性心不全で死んだ
(毎日)たま駅長 天国へ 22日夜死んだ
(産経)たま駅長 天国へ旅立つ 22日に死んだ
(日経)たま駅長大往生 駅長の三毛猫「たま」が死んだ
読売・朝日・毎日の見出しが全く同じ。"たまたま"でしょうか、「たま」だけに。産経と日経は、ちょっとだけ工夫が凝らされていますが、要は、
「死亡」「亡くなる」
という言葉は、人間に対してのみ使われるものなので、三毛猫の「たま」には使わないと。それを避けるために、どう表現するかという話ですね。
同じ日のスポーツ紙も見て見ると、
(見出し) (本文)
(デイリースポーツ)たま駅長死す 駅長の雌の三毛猫「たま」が死んだと発表
(サンケイスポーツ)たま駅長死ぬ 三毛猫「たま」が死んだと発表
(スポーツニッポン)たま駅長天国へ 駅長の雌の三毛猫「たま」が24日、
死んだことが分かった
(日刊スポーツ)たま駅長死す 駅長の雌の三毛猫「たま」が死んだと発表
(スポーツ報知)たま駅長天国へ 動物病院で死んだことが、24日分かった
やはり「死亡」は使われていません。かなり徹底されている感じです。以前は、動物にも平気で「死亡」が使われていたのですがね。そのあたりの話は、
「平成ことば事情0138海くん、死亡」
「平成ことば事情0271犬、死亡」
「平成ことば事情0489死亡牛・廃用牛」
「平成ことば事情4068スナメリ死亡」
を、お読みください。