新・読書日記 2015_085
『家族という病』(下重暁子、幻冬舎新書:2015、3、25第1刷・2015、5、1第9刷)
「家族」という「思想」「思い込み」は「病」であると。人間、一人で生まれて一人で死んでいくのだ。著者の「生き方」が記されているのだが、物凄く売れているベストセラー。3月に出て、私が買った時点(6月2日)で、もう「9刷」である!今年のベストセラー本に入ること、間違いなし。ということで、一応、目を通しておこうと思って買いました。
世の中の流れに流されず、強く生きる「個人」を感じるが、「血」を否定して「家族」の悪い面を否定して、
「別に『家族』でなくてもいいんだよ」
と説いているわけである。しかし、日本人の究極の「家族」と言えば「皇室」ではないか。だって、その「父」が「国民統合の象徴」なんだから。とすると下重さんは「天皇制」は否定しているということになるのか?
いや、その後、読み進めると、著者は「家族」自体を否定しているのではなく、「家族」というのは、必ずしも「血のつながり」を重視する必要はない、養子でもいい、というようなことを説いていると思う。そうすると、やはり「万世一系」は否定しているような・・・。
それはさておき、著者は、いかに突っ張って生きて来たのか、そして現在につながっているのかが、よく分かる一冊ではある。ちなみに著者は何年生まれかは書いていないが、
「終戦時に小学校3年生」
とあるので、おそらく昭和11年か12年生まれ。まもなく「傘寿」を迎えるぐらい。私の「母」世代である。
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