新・ことば事情
5778「バスタオルを替えるか?換えるか?」
「ミヤネ屋」のディレクターから質問です。
「『バスタオルを毎日かえる』という場合の『かえる』は、『替える』でしょうか?『換える』でしょうか?」
うーん、難しい。こういうときは『新聞用語集2007年版』を引いてみましょう。「かわる」を引き、「換」と「替」の用例を見ると、
*「換わる・換える」(換金、還元、交換、置換、転換)言い換え、置き換え、書き換え、金に換える、それに引き替え、取り替え、乗り換え、配置が換わる、人質と引き換えに
*「替わる・替える」(変・換以外の場合)井戸替え、入れ替え、入れ替わる、買い替え、替え歌、替え玉、替え地、額を掛け替える、掛け替えのない人、組み替え、(遺伝子の場合は「組み換え」)、衣替え、芝の植え替え、すり替え、二の替わり、日替わり、振り替え輸送、ポイントの切り替え、模様替え
そこに私が手書きで、
「手を替え 品を替え」
と書き込んでいました。
それを見ながら考えたところ、こんなアイデアが浮かびました。
「『換』は、場所を変えたり、違う物を持って来たりで、『書き換え』は違う内容を書くわけでしょ。『金に換える』も『何かの物を、金(きん・かね)に換える』というように『違う物に換える』ことを言うのに対して、『替』は、『衣替え』にせよ『日替わり』にせよ、『服』『定食』のように『同じ種類の枠=カテゴリーの中でかえていく場合』ではないか?そうすると、今回も『バスタオル』というのは同じカテゴリーの物を、洗いたての物・新品の物にかえていくので、『替える』なのではないか?」
と説明したところ、ディレクターも納得して、
「では『バスタオルを替える』でいきます!」
と答えました。ちなみに『新聞用語集2007年版』を、もう少し先まで読むと、
『(注)「替」か「換」か迷うときは「替」を使う。』
とありましたから、いずれにせよ、
「替える」
でいいんだなと思いました。